第13話 『ブリュンヒルデの涙』(2002/12/07放送)

脚本/高山治郎
コンテ/宮地昌幸斧谷稔
演出/宮地昌幸
作監/下井草伊井乃弼・奥村正志

■ゲイナー・サンガの前回のあらすじ。
「行く手にミイヤの街があるという、その五賢人の言葉どおり、巨大な石の柱が林立する遺跡があった。しかし、アスハムはそんなところにまでゲインを追ってきた。谷に眠っていたオーバーマン、ブリュンヒルデは、その人間どうしの争いに割って入り、サラは取り込まれてしまった」
ブリュンヒルデと対峙する、ゲインのガチコ、ゲイナーのキングゲイナー、ザッキのゴレーム。ブリュンヒルデのコックピットにはアスハムとサラがいる。
ゲイン「憶えていたか、ブリュンヒルデ。この腕はお前の腕だ。話によっては返してもいい」
ザッキ「なに!? あのシルエットマシンの左腕は、あのオーバーマンのものだと言うのか」
ゲイナー「ゲインさん、どういうことなんです? 確かにあれ、左腕がないよな…」
ゲイン「この腕は3年程前にベイルトのアンダーマーケットで売りつけられたものだ。何故そんなことになったのか、そんな事情は考えたくもないがな、ブリュンヒルデ。(ここから回想)シルエットマシンを修理する町工場ってところで見せられりゃ、信用などできるものか。ガラクタを売りつけるような手合いだからな。どこで仕入れたのか聞いても、親父は買うのか買わないか聞くだけで、ともかく俺に使わせたがっていた。組み立てに入れば親父も目の色を変えてやってくれて、この左腕の持ち主はとんでもない化物じゃないかと、二人で笑いあったものだ。しかしな! 化物といってもさすらいのオーバーマンならお化けじゃない!それは調べたよ。ミイヤを乗せたブリュンヒルデ
ブリュンヒルデのコックピットでアスハムとサラが小競り合いをしているさなか、ショートが起き、アスハムは工具セットを取り出して修理を始める。(サラがアスハムに懐中電灯の反対側からチップを渡すシーン。アスハムが「こっちか」と気づくところなど、細かい)サラも修理に協力し、工具セットを欲しがったりしていたが、修理が終わる間際、サラはアスハムの首根っこを押さえる。
■ゲインはゲイナーにブリュンヒルデの首根っこを押さえろという。
ゲイナーはキングゲイナーのポシェットの中を、有効な武器はないかと探る。
■ザッキはブリュンヒルデを攻撃して、中のアスハムを吐き出させようとする。
キングゲイナーブリュンヒルデの放つ黒い球を「ピン」という武器でたたっ切るが、ピンは溶けてしまう。
■ザッキのゴレームは巨石をブリュンヒルデの上に落としてその動きを止める。
ザッキ「ヤーパンのオーバーマン、借りは返したぞ」
■サラ「ミイヤのオーバーマンなら、完全に性能を発揮したら、危険かもしれないでしょ!」
倒れるサラとアスハム。コックピット内の灯りが消える。
アスハム「懐中電灯の光まで消えた?」
サラ「嘘、じゃないか…」
■ゲインはガチコの左腕でブリュンヒルデの黒い球を押え、跳ね返す。
ブリュンヒルデのコックピットではモニター全体にアーリーミイヤの映像が映り、サラとアスハムはそれに見入る。その映像のミイヤは泣いている。
ブリュンヒルデの周囲のあちこち岩の表面にはミイヤの紋章が浮かび上がる。
ゲイン「そうだ。奴が動いて現れたのなら、あのオーバーマンにはエクソダスの情報だって隠されているはずだ。上手く生け捕りにしたいな。セント・レーガンもそう考えんか」
ザッキ「い、いかにも。特務大尉の生死も」
ゲイン「そりゃ気になる」
■しかし、ブリュンヒルデは丸まって地中に潜り、消えてしまう。
ザッキ「た、大尉が行っちまった。ゲイン・ビジョウ! やはり貴様を先に始末しておけば、こんなことには!」
ゲイン「俺にも借りを返してもらおうか、このブリュンヒルデの左腕にもな!」
ザッキ「確かに奴がいなければ、俺だってやられていたか…覚えとけ!」
ザッキのゴレームはその場を去る。
■ヤーパンの天井にいったん帰還するゲイナーたち。
ブリュンヒルデのことはあまり知られたくないのか、コナに何があったのか話そうとするベローの口を押さえるゲイン。一方、ガウリはゲイナーを慰めるつもりなのか、
ガウリ「お前にだけ働かせて、済まなかったな。五賢人がいいアイデアを出してくれるさ」
ゲイナー「…はい」
コナ「ねえ、何があったんだ?」
ゲイナー「すぐ出ると思うから、整備、お願いします」
コナ「何があったっての〜」
疎外されてくやしがるコナ。
■ミイヤの街では戦ってほしくない、という五賢人たち。
それにサラを見殺しにするのかと反発するガウリ。
アスハム共々サラを助けたいだけということはブリュンヒルデもわかってくれるさ、とゲイン。
■自室でオーバーマン・バトルゲームをするゲイナー。
アナ「ゲイナー、こんなときに何をしてるんです?」
ゲイナー「今日のオーバーマンの攻撃と似たステージがあったんで、練習していたんです」
アナ「え? そういうの?」
ゲイナー「僕、ちょっとゲインさんのところに行ってみます」
アナ「ゲイナー、ガッハさんたちは、サラを見捨てるって」
ゲイナー「そういう考え方もあるけど…」
アナ「ゲイナーは、サラを助けに行くんでしょう?」
ゲイナー「あたりまえでしょ。そのステージ、ハイスコアでクリアしたんで、そのデータのセーブ、お願い出来ますか?」
アナ「え? は…はい!」
■シベ鉄。
ザッキとケジナンとエンゲ。ミサイルの準備をしている。
ケジナン「車体にも問題ありませんけど、年代物だってことは覚えといてください」
ザッキ「考え抜いた末のことだ。アスハム特務大尉を救出するためなら、遺跡を潰すしかないだろ」
■バッハクロンのカーゴ。
コナやトゥン、ゲインとゲイナー、ベローとガウリ。
キングゲイナーのポシェットの中で、フォトンマットような光が渦巻いている。
コナの話によると、いつもはこの中でチェンガンの弾のスペアなどが自動的に生成されているらしい。
アーリーオーバーマンやミイヤの街と反応したので変化があったのでは、とトゥン。
ゲイナーはキングゲイナーはアーリーオーバーマンの特性を持った、汎用のオーバーマンと推測。
なら、今度はブリュンヒルデを捕まえられるな、と言うゲイン。驚く一同。
アイキャッチ
■再び谷底でうずくまるブリュンヒルデ。その傍らでアスハムとサラがまた言い争いをしている。
サラ「あなたにあの子は任せられないわね。ねえ、妹さんのことで、ゲインを追いかけてるってのは、本当なの?」
アスハム「セント・レーガンとして、エクソダス請負人として追っているだけだ!」
サラ「なら、エクソダスを認めないロンドンの方がおかしいのよ。もともとピープルは…」
ブリュンヒルデが目覚める。そして、キングゲイナーとガチコがやって来る。
ブリュンヒルデはサラを捕まえ、自分のコックピットに入れる。
アスハムもすかさずコックピットに滑り込む。
アスハム「ブリュンヒルデは、お前をミイヤと勘違いしているようだ」
サラ「あたしが…ミイヤ?」
アスハム「夕べは使えなかったモニターが、映っているんだぞ。ブリュンヒルデよ、お前のマスターはこの私だ。今のミイヤは堕落の極みでなあ、私の言うことを聞く方が幸せだぞ」
サラ「この人、どういうつもりで…」
ブリュンヒルデをコントロールしようとコックピット内の配線をいじるアスハム。
■ガチコがブリュンヒルデの黒い球を押え、キングゲイナーが後ろにまわり込むが、ブリュンヒルデの尻尾に吹っ飛ばされる。
ブリュンヒルデのコックピット内の配線が昨日と違っているためにアスハムは苦労する。
■ザッキ「接近戦を挑むとは、愚かだなあっ」
ザッキのゴレームがライフルでブリュンヒルデを攻撃。
ザッキ「大尉がいない今、前線の指揮はこのザッキ・ブロンコが取る!」
サラ「セント・レーガンのオーバーマンでしょう?」
アスハム「ザッキにしては、いい覚悟をしてくれた。戦いには犠牲はつきものである。無論、私達も例外ではない」
■ザッキはゲインのガチコをも攻撃。ケジナンから連絡が入る。
ザッキ、ケジナンに、ブリュンヒルデ目標にミサイルを発射させる。
キングゲイナーがそれを防ぐも、ミサイルはブリュンヒルデに着弾。
■アスハムが修理を終えると、ブリュンヒルデはバリアーが張れるようになったうえ、口からビームを吐き、ザッキのゴレームを攻撃する。
ゲイナー「ようなものしか使わなかったオーバーマンが、ビームを使った」
ゲイン「黒玉に溜め込んだエネルギーを、ビームにしたんだよ。あのアーリータイプは賢くなっているんじゃないのか」
■アスハム「うっはっはっはっは。凄いぞブリュンヒルデ、こんな力まで持っているとはな」
サラ「コントロール出来たの?」
アスハム「ああ、出来た」
サラ「やめなさい、この子の求めてるのは、あなたじゃないわ!」
アスハム「私がこいつの力を必要としているのだ。これ以上邪魔をするなら、今度こそ撃つぞ」
サラ「悲しい人ね、情けなく、自分勝手な人」
アスハム「せ、説教するつもりか、このオーバーマンの親にでもなったつもりかーっ!」
■ヤーパンの天井のユニットを守らなければならないので、ベローとガウリはゲインたちを支援に行けない。ガウリはトゥンたちにオーバーマン封じの手投げ弾の開発を急がせる。
■アスハム「出てこいゲイン、このブリュンヒルデ、私の支配下に入った」
サラ「あなたっ」
アスハム「うるさいっ!」
止めさせようとするサラを押さえるアスハム。
アスハム「ゲイン! 今日こそ妹の恨みを晴らしてやる!」
ゲイン「ここまでするか…」
ゲイナー「サラはどうした。戦うなら二人だけでやって、サラは解放しろ! 関係ないだろ」
アスハム「馬鹿を言うな。この女はヤーパンのエクソダス対策の人質である!」
サラ「この子は、いじくりまわしては駄目なのよ!」
ゲイナー「そういうことなら、僕が相手だ!」
キングゲイナーブリュンヒルデに突っ込む。
ブリュンヒルデは黒玉を投げつけてくるが、それをガチコが砲撃。
キングゲイナーブリュンヒルデの懐に入り込もうとする。
ゲインとゲイナー、二人まとめて倒そうとするアスハムの顔面をサラは逆立ちした姿勢で蹴る。
■ゲイナー「コックピットのハッチだけを切る自信がないんだ。ゲインは下がるっ」
ギングゲイナー、再びブリュンヒルデに突進。
アスハム「撃てよ! ブリュンヒルデ!」
胸から黒玉を発射するブリュンヒルデキングゲイナーはすかさずポシェットからピンを取り出し、それで黒玉を防ぎながらブリュンに近づく。
ゲイナー「黒玉の引力を利用して、接近する!」
ブリュンヒルデ、ビームを吐く。キングゲイナーは避けたが、ガチコの片足がもぎ取られる。
■まわりの岩にミイヤの紋章が浮かぶ。
■アスハムを止めようとするサラだが、突き飛ばされ、アスハムが修理していたパネルにぶつかる。
と、モニター全面に映像が映る。
アスハム「な、なんだ!? ゴレームの群れなのか?」
■映像のゴレームの群れは人型の氷を踏みつぶす。
ブリュンヒルデと思われるオーバーマン。その手の中には、アーリーミイヤの姿が。
アーリーミイヤ(エンシェント・ミイヤ?)は赤ん坊を抱いて、何かを叫んでいる。
ブリュンヒルデの後ろには、様々な形態の五賢人のオーバーマンたちが、ミイラ風に包帯を巻かれたブタ鼻(?)のオーバーマンを乗せた台を担いでいる。
アーリーミイヤは何か叫んでいる。
アーリーミイヤ『このままオーバーデビルは地中に埋めて、再生させてはならん…』
■サラ「オーバーデビルと、おっしゃいましたか? なんなんです、そ、それは。ミイヤ様!」
涙を流すサラ。
アスハム「ミイヤなど、エクソダスで世界を惑わす魔女にすぎん!」
アスハム、アーリーミイヤの映像に向かって拳銃で撃つ。
■泣くように咆哮をあげるブリュンヒルデ
すると、まわりの岩から無数の黒玉がにじみ出て空に向かう。
ゲイナー「ブリュンヒルデ! サラを返してくれ!」
■再度キングゲイナーブリュンヒルデに突進。ブリュンはビームを吐くがキングゲイナーはチェンガンでそれを弾き、ブリュンの片腕を切断。
アスハム「馬鹿な、こ、こうなったら」
サラ「上にも馬鹿なことが?」
■上に向かった無数の黒玉は上空でプレート状に広がり、すべてのものを吸い込もうとする。
サラ「解除しなさい!」
アスハムはブリュンヒルデのコックピットから逃げ出す。
キングゲイナーがサラを助けに来る。
サラ「あいつは、この子を自爆させるようにしたわ!」
■ゲイナー「みんなで、間に合わないかもしれないんだ。こっちのパワーも吸われている…」
どうにもできないゲイナー。ゲインはガチコの左腕でプレートを抑えようとする。
■ゲイナーがゲインのガチコを抱え、プレートの下から出た瞬間、それは爆発する。
■ゲイン「アスハムの野郎、ブリュンヒルデを自爆させたか…」
ゲイナー「サラ、サラさん!」
サラはキングゲイナーの手のなかで泣いている。
サラ「ブリュンも…ミイヤも…昔は、みんなで悲しかったの…?」
■アスハムとザッキ。
ザッキ「申し訳ありませんでした、大尉! 自分は…」
アスハム「弁明などは、いい!」
ザッキ「はい!」
アスハム「予定を変更して、私はシベリアに骨を埋める!」
ザッキ「…う、嘘でしょ…」
■サラ「ブリュンヒルデ、死んじゃったのかな…」
ゲイン「あいつはとんでもないオーバーマンだ。またどこかで、寝てるかもしれないな」
サラ「眠ってる、か…」
ゲイン「だから、サラたちがミイヤの街をヤーパンに作るんだよ」
サラ「そっか、わたし、絶対ヤーパンに行って、ミイヤの街を作り直してみせる! ミイヤのためにも。ブリュンヒルデのためにも。あたし自身のためにも」
ゲイナー「僕は、こういうサラを愛せるな…」

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