第24話『オーバーマックス』(2003/03/08放送)

脚本/高山治郎
コンテ/斧谷稔
演出/羽生尚靖
作監/井上哲・西山忍

■ゲイナー・サンガの前回のあらすじ。
「キッズ・ムント総裁と、マルチナ・レーンという老婆を捕まえられたことは、とんでもないことだと思う。彼は、あの巨大な氷の結晶のようなものや、オーバーデビルのことを知っているようだけど、全てを説明してくれるわけはなかった。オーバースキルのことを考えると、彼らにも説明しきれないものがあるんじゃないのかと、僕は思った」
■進むオーバーデビル。その足下にオーロラのようなものが現われている。
オーバーデビルの前にアイシングゲートが出現。アスハムのドミネーターは、オーバーデビルの内部にいるわけではないらしい。
アスハム「すでに、すでに、すでに! このオーバーデビルが復活したことは、世界中に広まっていよう! さて、シベリアが動くか、ロンドン・イマが来るか、それとも神が降ってくるのか? なあ、シンシア殿?」
シンシアは氷づけのコックピットの中で応えない。オーバーデビルに取り込まれつつあるのか。
■ユニットからチェルノボーグへの、エネルギー注入作業が続いている。
ユニット上部ではゲインが一人ライフルを抱え座っている。そこへアナ姫がやってくる。
ゲイン「ん?」
アナ姫「どうしてですか?」
ゲイン「闇に目を慣らしています」
懐中電灯を消すアナ姫。
アナ姫「五賢人の方々が、作戦のことで来てほしいといってます」
ゲイン「ここを離れたくはありません」
アナ姫「でも…」
ゲイン「私は狙撃手でもあります。狙撃手の命である目を、光で曇らせるわけにはいきません」
アナ姫「わかりました。ガッハさんたちもわかってくれるでしょう」
ゲイン「ゲイナーはやっていますか?」
アナ姫「技の研究のためにキングゲイナ−のコックピットに移りました」
ゲイン「ほう」
アナ姫「お部屋の電気が使えなくなりましたから、あそこでしかゲームはできないのです」
ゲイン「そりゃそうか…」
リンクスを連れ、帰ろうとするアナ姫。
ゲイン「姫様…」
アナ姫「はい?」
ゲイン「俺が…ゲイナ−から絶交させられたら、慰めてくれますか?」
アナ姫「え? 私でよろしければ、いつでもお相手させていただきますよ」
ゲイン「ありがたいことです」
アナ姫「では」
去っていくアナ姫とリンクス。
ゲインは前方のバッハクロンを見て、
ゲイン「ゲイナー、技は見つかるかな…」
■そのバッハクロンのカーゴ内、キングゲイナーのまわりで、ナンとトゥン、コナたち整備班と、サラは寝袋で寝ている。一人ゲイナーだけが、キングゲイナーのコックピットでゲームを続けている。
ゲイナ−「我を倒した者に、キングの名称を譲ります。我と思わん者は、挑戦してきてください! お好きにどうぞ!」
■一つのヒートマットで窮屈に寝るケジナン、エンゲ、ジャボリの三人。
そこへキッズ・ムントがやって来て、特別任務があるから働けと言う。
■朝。朝日にダイヤモンドダストがきらめく。
フォトンマット砲のテスト。横方向には撃てるが、前方には撃てないという間抜けぶり。
一方ゲイナーは同時に三人のエントリーと対戦し、難易度を上げていく。
■朝日を背にして、氷の槍が飛んでくる。それはバッハクロンに突き刺さる。
やはりそれはアスハムの仕業。
アスハム「ゲイン! この氷の槍が、我が胸の内いいいいっ!」
アスハムのドミネーターが投げた氷の槍は、空間を跳躍し、「ヤーパンの天井」に襲いかかる。しかも、その氷の槍にはブラックドミが仕込まれている。
■ブラックドミに襲われ、マルチナ・レーンを連れて逃げるアナ姫とリュボフだが、キングゲイナ−がそれを救う。ゲイナーはゲーム内の敵を倒しながら、リアルのブラックドミをパイルドライバーで倒す。そして、キングゲイナーのポシェットから、対オーバーフリーズ弾(?)を取り出し、チェンガンにセット、氷の槍に向けて撃つ。すると、氷の槍はさらに氷で固められて
動きを止められる。
■ガウリも念願(?)の対オーバーマン弾(ダブルB?)を使ってブラックドミを攻撃する。
■キングゲイナ−が、ゲーム内での敵も相手にしていることを知らないアスハムは、
アスハム「ヤーパンのオーバーマンは、なんという無駄な動きをしているのだ。私の手を煩わせて! 突撃させてやっている親衛隊は、ユニットはいいから、全機でヤーパンのオーバーマンを潰せ!」
そこへ、ブリュンヒルデの力なのか、空間を跳躍してアスハムのもとに現われたゲインのエンペランザ。
ゲイン「やっぱりこの姑息な戦いの源は、貴様だったか!」
アスハム「何が姑息か! お前に比べれば、堂々たるものだろう!」
ゲイン、アスハムのドミネーターを攻撃。
ゲイン「なめるな! アスハム!」
アスハム「うわっ!」
ゲイン「オーバーマンに似合う、オーバースキルがなけりゃな!」
アイキャッチ
キングゲイナーに集中攻撃をするブラックドミ部隊。
ゲイナ−は撃墜数にリアルで撃ち落とした敵の数もカウントさせている。
そしてキングゲイナ−のポシェットからもう一つチェンガンを取り出す。
■キッズ・ムントはケジナンたちに、「アガトの結晶」近くの氷の中からもう一体のドミネーターを掘り出させる。
ドミネーター(ドミネーター・カプセル)を見つけたケジナン、エンゲ、ジャボリは、これで46階級特進だと騒ぐ。
ある意味、一番たくましいんじゃないのか、こいつら。
■ゲイナ−「超えるんだ、100%を、オーバーマンを、僕自身を!」
カテズのゲーセンでゲイナ−の戦いを見ているギャラリーたち。
リアルエントリーでゲームクィーン、シンシアのオーバーデビルが入ってくる。
カテズのギャラリーたちも次々とゲームにエントリーするが、オーバーデビルの「歌のようなもの」が流れてくる。
オーバーデビルが回転しながら光を放つと、それはゲーム画面を伝わって、カテズのピープルたちを凍らせてゆく。
■シンシア「勝負しよう、ゲイナー。新しいゲームのスタートだ…オーバーデビルが、仕掛けられたバーチャル…リアルなゲーム…ゲイナーはよくやってるよ…」
オーバーデビルにとりつかれているシンシア。
ゲイナ−「オーバーデビルは、ゲームの中のものまで凍結させるのか」
シンシア「何いってるの…キングゲイナ−だって、ゲームの中の連中と対戦するのに、握手をしてたじゃないか…ハハハハ…」
ゲイナー「いや…これは、シンシアのいたずら、心まではまだ凍りきっていないから、聞こえているんだ。やってやる…戦い方はシンプルになってきた」
■ゲイン「どこを見ている! お前の相手は俺だろう!」
そのゲインとアスハムのもとに、オーバーデビルが現われる。
アスハム「オーバーデビルめ! ネットゲームにまで干渉して、システムを混乱させている!」
ゲイン「ゲイナ−君はよく戦っているようだ。だったら、こいつをチャンスに変えてやる!」
■ゲインはべローにフォトンマット砲の用意をさせる。
■バッハクロンのブリッジに来たアナ姫とマルチナは、ゲイナーがゲームの中でもオーバーデビルと戦っていることに驚く。
■ゲインは対オーバーマン弾をオーバーデビルに使うが効かない。
アスハム「もう何をやってもムダだ! オーバーデビルは、『ヤーパンの天井』の行き先を塞ぐルートに入った!」
ゲイン「行く先を塞いだ!?」
オーバーデビルの力なのか、チェルノボーグの前方のレールが壊されていく。
ゲイン「ブリュンヒルデの力よ。氷の門が、オーバーデビルに弄ばれていいのか?
ただ見ているだけなのか、アーリーミイヤ!」
■そのゲインの声に「はい?」と何故か反応してしまうミイヤ。
カテズの店で食事をしているミイヤとルブル。
店の外にはミイヤ目当てなのか、たくさんのピープルたちが群がっている。
ミイヤ「ねえ、ルブル、まずいよ。『ヤーパンの天井』に追いつこ」
ルブル「あんたのひと踊り見せてやれば、送ってくれるって男たちはそこにいるんだけどねえ」
ミイヤ「こんなんかな〜、えくそだす〜」
ミイヤ、コートの前を少しはだけて腰ふってみせる。
店の外の男たちが騒ぐ。
■エンペランザの左手のブリュンヒルデの紋章が光を放ち、それはアイシングゲートの姿を露にする(ように見える)。
ゲイン「ベロー、チェルノのフォトンガンを!」
ベロー「ええっ!? 角度も距離も無理だぞゲイン!」
ゲイン「チェルノだって、すぐには前進できない。フォトンマット砲!」
ベロー「どうにでもなりやがれ!」
ベロー、チェルノボーグにフォトンマット砲を撃たせる。
ゲイン「そうだ。そいつを左舷に投げろ!」
チェルノボーグ乗員「フォトン球を左へ投てき!」
ゲイン「シュートが高すぎる! ブラックホールラケットで、撃つ!」
エンペランザの左手からブラックホ−ルの黒い球が現われ、それはラケット状に変型。
ゲインはそれでフォトンマットの弾丸を撃つ。フォトン球はレールの上でバウンドし、レールが赤く光る。
■アスハム「焦ったなゲイン! どこに撃った!」
ゲイン「俺は黒いサザンクロスだぞ」
ゲイン、エンペランザのライフルを撃つ。するとエンペランザの左手のブラックホールがその弾道に乗り、フォトン球と合体し、アイシングゲートの中心を突き破る。
(のように見える)
■砕け散るアイシングゲート。
アスハム「氷の門が…き、消えた!?」
そして、ゲインの撃ったライフルの弾の残りの一発がオーバーデビルのコックピットに命中。
アスハム「しまった! たった一発の弾丸を止められなかった! 私のオーバーデビルを!」
ゲイン「ゲイナー! 悪いがシンシアは殺すぞ!」
しかし、オーバーデビルの「歌」がゲインや、アスハムの機体の動きを止める。
さらにそこに、キッズのドミネーターが出現。
■キッズ「オーバーデビルは私のものだ。他の誰にも触らせるものかよ!」
キッズのドミネーターの体にキッズの顔が浮かび上がる。
マルチナ「ともに氷のクリーンな夢を見てきた私にはわかっている…」
アナ姫「はい…」
マルチナ「オーバーデビルをコントロールする術など、ありはしない…」
キッズ「私を受け入れておくれ。私はオーバーデビルの真なる力を得て、この世を清らかに清潔なものにしたいのだ! そのためには、そのためには、体の半分も、惜しくはない!」
しかし、オーバーデビルはキッズを攻撃する。
キッズ「シンシア〜私がわからんのか! シンシア〜!」
アスハムのドミネーターにもアスハムの顔が一瞬浮かび上がり、
アスハム「お〜ろかなり! キッズ・ムント!」
ゲイン「成す術はなしか…ゲイナー、よくやったよ…」
■マルチナ「復活を果そうとすれば、オーバーデビルはより強いオーバーセンスを取り込もうとしますのさ」
ベロー「みんな…あいつに引き寄せられてるんですか?」
キッズ「目障りなものを、残すでない!」
キッズがそう命令すると、親衛隊のブラックドミはラッシュロッドや、ブラックメール、ジンバなど、今まで登場したオーバーマンに姿を変え、キングゲイナーだけでなく、オーバーデビルに捕らえられているキッズのドミネーターにまで攻撃をしかけてくる。(のように見える)
■ゲイナ−はそれらを全部倒し、ダブルフィールド(リアル、バーチャル両方という意味?)での初代キングの称号を得る。カテズのピープルたちの氷も溶け、もとに戻っている。
■マルチナ「あの子のオーバーセンスは、オーバーデビルの力も超えたように見えたわ」
アナ姫「ゲイナ−って、ゲームをやっているときって一番リラックスできるって言ってましたから」
マルチナ「ゲームだと!? オーバーデビルとの戦いを、遊びごとでやるのかい?」
アナ姫「違いますよ。リラックスしなければ力を出せないときってあります。それに、ゲイナーはゲームをやることで、精神力を鍛える努力だってした少年ですよ。現実と対決するために、です」
マルチナ「ああ、想像力があるんだねえ…オーバーデビルも、人が想像したものなんだよねえ」