おおかみこどもの雨と雪

とりあえず公開されたばかりなので、ツイートしたファーストインプレッション等をもとに簡単な感想。ネタバレ含むほどは書かない。

実はまた甘々な出来かと半ば諦めていて、例によって定点観測と割り切って観たのだが、非常に抑制の効いた演出、作画の快楽より記号性と概念で見せる作品だった。昔の細田守さんの演出の特性と、今のそれなりの成熟度がバランス良くマッチしていて、「サマーウォーズ」の次がどうなるか気になっていたのだが、安心した。

観る前に、たまたま、
富野由悠季:「おおかみこどもの雨と雪」を異例の大絶賛 - MANTANWEB(まんたんウェブ)
を読んで、へー、としか感じてなかったのだが、実際観てみて、細田さんはそれほど意識してはいないだろうけど、富野さんの理想(理想なので、実際富野さんが手がけた演出とは当然落差がある)とする演出手法が実践されていたような気がした。自分の印象では上記の「記号性と概念」の部分、富野さんのコメントでいうなら、リンク先の、

しかし、アニメならではの手法で可能になっている構造でもあるので、アニメ映画というレッテルを貼られてしまうのが、無念ではある。

の部分。いかにも富野さんらしい言い方だが、要は、アニメでしか出来ない「映画的」な手法で作られている、ということ。

これが「サマーウォーズ」の時と同じく大甘な出来であったのなら、ツイートで済ませて、わざわざここには書かなかった。
「単純に素直な映画だった(遠い目)」「今から思えば『サマーウォーズ』の時、あんなに変にこだわる必要なかったんだなと思った」等々のコメントを予め用意してたので、それをせずに済んだのは本当に良かった。改めてだが、今回の出来に安心した、というのが今の正直な心境。

あとは、宣伝に比べて予想以上に本編が地味なので、一般の人の反応が気になるのと(「ももへの手紙」、「虹色ほたる」に共通する興行上の問題をはらんでいるので)、いわゆるケモノ属性萌えの人たちの反応が気になるところ(私にはわかりません)。