映画「けいおん!」

2期の終わりに劇場版の告知があって、劇場版ではどうするのか、客観的に興味があってその時点では観る気だったのですが、さすがにそれから一年以上たち、途中震災もあったせいで、これで「けいおん」も過去のものになったかと感じつつも、現在のまるで震災が無かったような世間の空気に苛立ちを感じつつ、気がつけば公開日を迎えてさてどうするか、という今更感を抱えながら、何となく観てきました。

テレビ版と全く同じ印象でしたが、下手にひねって変えなくて正解だと思いました。

別にネタバレにはならないと思いますが、夏フェスに行くようなノリでロンドンに行き、ドラマらしき部分はテレビ版2期終盤の補完なので、身も蓋もない言い方をすると、あってもなくてもいい話です。

けいおん!」については1期のころからそうですが、好き/嫌い、面白い/つまらない、云々な判断は自分には無縁で、ただ客観的な見方しか出来ないので、思い入れが出来る人には良かったのかもしれません。ただ旬を過ぎたことで、リアルな突っ込みが無粋になるレベルについに達して、「けいおん時空」が完成していたので、面白いかつまらないかはさておいて、これでいいと感じました。

これがまだブームの渦中で、震災以前だったら、文句の一つも言いたくなるでしょうが、たぶんスタッフの意図を超えて、今の現実から遙かに遠い世界になったことで、妙に納得させられた気分です。

これは大げさかもしれませんが、今の「ファンタジー」って、並行世界などの設定、説明を使わずとも、見た目リアルな「現実」に近いのに、決して入り込めない世界、「こっち」側からただ眺めることしか出来ない世界のことを言うのではないだろうか、と思ってしまうのです。