ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 13話(未放映話)、そして全話観直し

オカルト学院も終わり、最近はアニメに関する情報をほとんど押さえてないので、「アニメノチカラ」枠そのものが終わりなのかどうか分かりませんが、ちょうど「アニメノチカラ」第一弾、「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」最終巻収録の未放映話13話を観たこともあって、もう一度観直しました。

実は初見一回のみで放ったままでした。
初見では「神戸守監督作品」であることを意識しすぎて、肩透しを食らったこともあり、今回観返す気になったのは、13話が結構リオ主体だったので、裏の主人公でもあるリオの話のラインから観直してみようか、と思ったのです。

初見時の全体のトーンから思えば、世界は滅びに向かっていて、人々はそれでも日常を生きていて、戦争状態などどこにもないが、ただ伝統的に形骸化した軍隊はあって、そこでの「軍隊ごっこ日常」を最後まで貫くのであれば、日常系アニメとしては有り。そうでなければ、「スカイクロラ」的にするか、それなりの、はっきりとは表には出てない世界観と設定があるのであれば、日常まったりノリではなく正攻法のドラマで行くべきだったと思っていたのです。

で、観直した結果、

これはこれでよく出来ている、と印象が初見時よりも良くなりました。

さり気ない描写の端々から推測される設定関係を抑えれば、筋はちゃんと通っている。

問題は、世界の全体像が親切に示されないので、流し観程度だったら、まずよく分からない。
一見流行の部活ものアニメ風でもあるので(放映当時よく言われたように、キャラデザインのテイストが「けいおん!」に近いのもあり)余計混乱する。
設定の副読本的なものを参照しながら観ればまた別だが、一回だけではまず分からない。

軍隊もので、戦争しない日常の描写が大半だけれど、他の萌え四コマアニメと違って、実は話の土台は一貫してシリアスである(そして暗い)。

流行の日常アニメ風にしたのが制作側の誰の発案なのかは分からない。
アニメノチカラ」の一発目、「オリジナルアニメ」で勝負するための「保険」かもしれない。


戦争せず砦の少女たちの日常描写が出来たのは、停戦状態にあったから。

ラストに戦争したがる自軍の分かりやすい悪役が出てきて、敵軍と緊張状態になり、炎の乙女たちの伝説をなぞるようにカナタがラッパを吹き、駄目押しで敵軍の皇帝と政略結婚したリオが水戸黄門よろしく事態を収める。そこに至るまでのリオに関する伏線もちゃんとあるし、他の少女たちの設定もちゃんとしてる。

その後の13話は戦争が終結したあと(別の地域では戦争は続いているらしいが)、カナタ自身の夢を問う話で、ラッパを通じてリオと先輩後輩の関係の仲になった経緯から、お姫様でもあるリオの、世界を復興させたいという夢についていく、という形で終わる(トランペットが上手くなるのは達成すべき目標がはっきりしてるもので、夢とは違う、というエクスキューズをしている)。


初見では脚本に疑問を持ったが、上手く繋がっている。
ただ、さりげなく伏線をセリフ、映像で見せるので見落とすと分からなくなる(個人的に感覚が鈍ってるせいかもしれないが(笑))。
際立った「演出アニメ」として観ようとすると、たぶん本質が見えない。

それはそれで、神戸守らしい仕上がりだったと思った。初見時の評価とはまったく逆になりました。
おそらく神戸さんの好きに作るとこうなるのでは、という気さえした。

まあ、制作側の事情は分からないので、邪推ではあるんですが。

惜しむらくは、よくある「萌えアニメ」の商売上の展開と作品がやっぱり齟齬をきたしてしまっていて、その点でも神戸さんらしいといえる(笑)。

と、ベタ褒めに近い感想になってますが、「エルフェンリート」の時にあったような、感情の高ぶりがなかったのは、それが今作に不必要だったのかどうなのかは分かりませんが、少なくとも、盛り上がりに欠け、視聴者にいまいちと感じさせてしまったところはあったと思います。

それに、学園ものならいざ知らず、異世界的な未来が舞台で、しかも軍隊の日常って、今の若い視聴者には素直に感情移入しにくいところではないだろうか、とも思います。


でも、ま、観直したら、そんなに酷くはなかった、ということですね。

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