22話「乾坤一擲」

前回のヒメブレンのチャクラシールドの膨張の余波で飛ばされた勇とクインシィ、それぞれのブレンとグランチャーがノヴィス・ノアにたどり着く。プレートのそばだと植物がよく育つので子供たちがノヴィス・ノア内で畑仕事をしている。カナンは疑いの目で見るものの、その子供たちに触れることで、クインシィ、いや、依衣子はひと時の安らぎを得る。
おそらく初見だと、描写としては拙いので失笑してしまうところもあるが、カナンやアイリーンの言うように、ノヴィスという場が(いつの間にか馴染んでしまったケイディのように)依衣子を変えたのかというと、よく観返すとそうでもない。
ポイントは勇がネリーブレンに依衣子を乗せるシーンで、勇はグランチャーは自分を苛立たせるだけだった、姉さんもブレンに触れれば落ち着ける、と説得するところだ。ここで依衣子はグランチャーの気持ちをわかってあげたことがあるのかと切り返す。これはもはや相性の問題でもあるので、勇にその余裕はなかったに違いない。そこがこの姉と弟の溝でもある。

依衣子を求めるクインシィグラン、人に危害を加えることを注意し、グランチャーのことを思い、逃がしてやってくれと言う依衣子。依衣子の心根は元々は素直なのだ。それがたまたま今回現れただけなのだろう。ならば彼女はなぜリクレイマーとしてクインシィを名乗らなければならなかったのか。親の出来の悪さのせいもあるが、オルファンとグランチャー、ブレンの関係、(彼らに「心」らしきものがあれば)その「戸惑い」や「不安」、「憎しみ」が、依衣子を巻き込んだのかもしれない。だからといって、オルファンから依衣子を引き離せばいいという問題でもない。