アニメ定点観測夏

例によっていち視聴者である自分の思うところをいくつか。

ニコニコのフルアニMAXが9月いっぱいで終了だそうで、「カブトボーグ」、「黄金バット」、「メダロット」など、楽しませてもらってありがたかったです。

思うに、新作アニメの配信が、今現在、パッケージ>ネット配信と、マネタイズの問題ではあまり寄与してないようで、所詮はパッケージの宣伝にしかなってはいないようですが、新作アニメについてはともかく、旧作アニメの配信をもっと増やして欲しいなあ、と思うわけです。これは自分が年寄りだから、という訳でもないんですが、かつてのTV再放送の意味合いで必要なんではないかと思うのです。また大昔から言われているTV時代の地域格差の問題もあるわけですから、新作も含めて、意味のあることだと思います。

さんざん言われているように、ネット配信の場合、月額見放題のやり方もあるでしょうが、まだ1話単位ではレンタルに比べれば割高ですし、複数の動画配信サイトが乱立している中ではまだ足並み揃っているわけでもなく、おそらくマネタイズの問題と権利関係などから、ラインナップもまだまだそれほど充分ではありません。バンダイチャンネルやニコニコなどはある程度充実していて、特にニコ生の一挙放送はコメント付きとも相まって、お祭りとしてはコメントがあるだけに、良くも悪くも集客力としては強いような気がします(ただし、配信システムの安定化という基本に立ち返ってほしいですが)。

音楽ではiTunes等で一曲単位で買えますが、アニメの場合、たいていシリーズものですから、1話×数話ではとても買い続ける気になるか微妙です。昔の1話完結のOVA、映画なら別ですが。
iTunesでは映画のレンタルだけでなく作品によりますが、購入も出来たりします。日本のアニメはどうなんでしょう。

それにしてもパッケージ商売はいつまで続くんでしょうか。数年前、それは破綻してる、と言われ、地デジに移行して高画質のものがただで録画出来たりしたり、ネット配信も雀の涙しかない、と言う状況。
そもそも、前から疑問だったのですが、主にラノベ原作アニメの場合、ターゲット読者は(建前としては)中高生なはずです。少ない小遣いで原作は買えても、馬鹿高いシリーズもののパッケージを買える訳がありません。
以前、「撲殺天使ドクロちゃん」の原作者、おかゆまさき氏が、「あくまで自分の読者は十代を対象としている。それは一ヶ月に一冊くらいのラノベしか買うお金がないからだ」というようなニュアンスのことをラジオで発言していましたが、もっともだと思います。

大学生くらいでバイトして、ようやくパッケージを買うことが出来るでしょう。社会人に成り立ての人間も同じです。つまりパッケージをようやく買えることができるのはその年齢になってから、ということになります。
とはいえ、それは一昔前の話で、商売する側からすれば問題ですが、ニコニコなどの隆盛や、YouTubeや、Ustreamなどでの配信が当たり前になり、無料期限の内に観る、という意識が当たり前となり、さらにTwitterが一般まで広がって拡散ということになれば、高いパッケージを買うまでは至らなくなるのは当たり前という気がします。それでも売れているというのであれば、映像単体ではなく、イベントやグッズとも連携した、なんというんでしょう、アニメグッズの一種としか思えません。つまり、コレクターズアイテムです。

そういった「アニメパッケージグッズ」を買い続けることが出来るのは(コレクターズアイテムに思い入れを持てるのは)、たぶん、70年代〜80年代に十代だった頃の世代で、古い作品がパッケージ化されるようになったと同時に、大人買いが出来るようになった、ある種の飢餓感が習慣となっていまでも続いているからでしょう。

あるいは、劇場版の「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's」が映画自体の興行収入よりもグッズの売り上げが上回った、という噂を聞くと、もうコミケ同然の状況で、上記の推論とはまた、違った消費のされ方になっているような気がします。


と、またしても長い前置きになりましたが、どうしても商売的な定点観測になってしまいますね。


というわけで、夏アニメについていくつか。

今のところ一番面白かったのが、0話の佐藤竜雄構成コンテの1期総集編でした。まるで1期が面白かったかのように錯覚するような出来で、力のある人の総集編マジックはすごいなあ、と。PVとして観ればは最適。

  • うた恋い。

個人的に、今現在一番好きかもしれないです。

本筋のドラマは何となく分かってきました。ボーイミーツマザーなんでしょうか。レントンとアオとの関係はどうなるんでしょう。
もう一つ、今回のAOの雰囲気で前作のエウレカとの違いがはっきりと分かるような気がするんですが、逆に前のエウレカの魅力がなんだったのかがいまいち分かりません。ドラマの不十分さは当時から指摘されてましたし、やっぱりカタルシスがあるかないか、なんでしょうか。
あと、小見川千明の芝居が上手くなってる。キャラ設定自体はよく分かりませんが。

なんか、コメントしたら負けのような気がしますが、作品自体に罪はありません。岡田麿里脚本の「ブラック★ロックシューター」に比べればかわいいものです。
問題の経緯は確認しましたが、動画等は観てはいません。ドッキリ企画も昔なら問題ないような気もするんですが、なんというか、ネットが一般化し、昨年の震災以降、神経質になりすぎていて、原発関係等ならともかく、何でもかんでも問題化してそれを叩き、さらには増幅されていく過程は不快極まりない。と言いながら、どうでもいいような「祭り」はすぐに消費されていくという、なんだかなあ。

ミステリーといいつつ、やはり日常ものですね。
特に文化祭の料理対決の回では、山田尚子絵コンテのキャラの細かい仕草などが目立っていて、あまり詳しくないんですが、そのあたりが今の京アニの「華」なんだろうなあ。リアルな芝居じゃなくて、「華」のある芝居。

花咲くいろは」からどんどん緩くなってて、何をやりたいのかよく分かりませんでしたが、10話の「西之端ヒーローショウテンジャー」の回でもう許しました(笑)。

原作者と監督で出来は予想通り。水島努監督は「ケメコ」のころはかなりブレていたが、あれからバランス取るのが上手くなりましたなあ。

今更ですが、ニコ生でラストまで一挙放送してくれたので視聴完了。後半破綻しまくりだったが、きっちり作ると後味悪くなりそうな気がしたのでとにかく勢いだけで終わらせたのは正解。それにしても集がヘタレなのはスタッフがヘタレに仕立て上げたような印象があり、おまけに姉に呪いをかけられ、その後の展開で逃げ場をことごとくふさがれて、かわいそうだったなあ。

観ています。背景がいいです。ロマン・トマ以下のフランスのスタッフは「バスカッシュ!」よりいい仕事してる。