第42話『さよならの仕方』

■メテオさんの「さよならの仕方」


プラネット王子に関しては、テーマ的には前回で
充分終わっているのですが、彼の成長の駄目押し
となるのが今回の冒頭のシーンです。
ここで、侍従長ヘンゲリーノのセリフで王子の
「瞳に映る輝き」は、コメットさん、メテオさん
二人のお妃候補のどちらかである、ということに
されます。これは、王子にお前は成長するな、と
言っているに等しいことです。設定的に深読みす
れば、下手に成長されて、国政に口を挟まれたら
何かまずいことでもあるのか。そこにヘンゲリー
ノやタンバリン星国のいかがわしさみたいなもの
がリアルに感じられるところでもありますが、後
に王妃のナレーションでも同じことを言っている
ので(王妃のナレーションをその言葉どおりに受
け取ってはいけないことは、いままでの流れで充
分わかっていることですが)たんに、おけや脚本
の連想的な繋げ方の結果そうなっただけかもしれ
ません。

そうだとしても、次の最終回で王子はまた地球に
行ってしまうわけだし、彼自身の言う、「作られ
た王子」というセリフから考えても、王子がただ
甘えているわけではなくて、タンバリン星国その
ものにも問題がありそうだという、何か意味があ
ると感じられるシーンではあります。

さて、王子が見つかり、彼が星国に帰ることにな
ったということは、コメットさん、メテオさんの
名目上の目的は完了したことになります。ですか
ら、二人もそれぞれ星国に帰らなければなりませ
ん。

ここでも、コメットさん、メテオさんの二人の態
度はいままでと変わりません。コメットさんはも
ともと、地球に遊びに行きたかっただけですし、
それは序盤の4話『わくわく動物園』ではっきり
明言しています。だから帰りたくないというのは
当然です。

一方メテオさんはコメットさんとの対抗上、地球
に来ただけですから、すぐにでも帰れるはずです
が、コメットさんと同じく、地球での思い出、風
岡家との関係、そしてイマシュンとの関係などが
出来てしまいましたから、そう簡単には振り切れ
ません。それでも、彼女の「王女メンタリティ」
とも呼べるものが相変わらずありますから、星国
の「星の子たち」のために帰らなくてはいけない
という意識ははっきりとあります。

メテオさんのお母さんが迎えにきて、一日だけ猶
予をもらったメテオさんは、イマシュンとビデオ
クリップ撮影を行います。面白いのは、それは、
風岡夫妻のためだということです。

イマシュンのためのようには見えないのです。撮
影シーンを観ても、メテオさんはイマシュンを引
っぱり回しているし、イマシュンのことが好きな
わりには彼の扱いが非常にぞんざいだったりしま
す。とくに最後にイマシュンの記憶を消し、それ
をコメットさんに押しつけて去っていってしまう
ところなど、そう見えてしかたありません。

解釈をする立場から言うと、この一連のシーンと、
「サンタビト」の回でメテオさんが一人で盛り上
がっていたように見えたことと、前回でイマシュ
ンがやっぱりコメットさんを気にしていたことと、
繋がりがあるように感じられます。

やっぱり、メテオさんの恋は一方的なだけで、そ
の思いが彼女の「歌」に力を与え、イマシュンの
気を引くものの、イマシュンはメテオさんの歌が
好きなだけであって、実際はコメットさんの方を
向いている。そのことがわかったメテオさんは、
あと一日しかないとなったときに、風岡夫妻の方
を選んだ、と、そんなふうに解釈できます。

もちろんそれは私の解釈であって、本編自体には
少しもそんなことは出ていませんが、冒頭のプラ
ネット王子のシーンと同じく、そういう解釈を許
すものがこの作品にはありそうなのです。

そんなメテオさんの「さよならの仕方」を見るコ
メットさん。地球に残っていたいけど、それでは
星国の「星の子たち」はどうなるのか。同じこと
をスピカおばさまに諭され、星力を得ようとした
ときに、「星の子たち」の拒否に遭う。

みんなの「輝き」を応援するのがコメットさんな
ら、地球と星国どちらを取るのか。そしてなによ
りコメットさん自身の「輝き」はどうなるのか。
いままでの流れを押さえていれば必然的に答えは
出ます。パターン自体は次の最終回でも変わりま
せん。「『輝き』の循環」。「輝き」を応援し、
「輝き」を応援されるそのサイクルは変わってい
ません。(2002/11/24記)