第40話『輝きをなくしたケースケ』

■「プラネット王子編」前編
 コメットさん、「メテオさんのやり方」でやってみる


今回の40話、次回の41話の2本が『コメットさ
ん☆』の集大成とも言えるエピソードです。

「『輝き』の循環」テーマと「『親』の立場」と
いうテーマ。誰かの「輝き」が別の誰かの「輝き」
に力を与える。そしてその「別の誰か」の「輝き」
は元の「誰か」の「輝き」にも力を与える。その
循環。

言い換えれば、「輝き」を持つ人は「親」となっ
て、他の人間に力を与える。上の2つのテーマは
そういう繋がりがあります。

具体的には実際に親子である藤吉家夫妻とツヨシ
くんネネちゃんの関係。風岡家夫妻とメテオさん
の関係。コメットさんとケースケ、イマシュンと
の関係。そしてコメットさんとメテオさんのと関
係。そのどれもが、「輝き」を与えあう関係にな
っています。

まず最初に藤吉家を中心にして、そういう「輝き」
の関係とそれによって発生するまったりした雰囲
気があったからこそ、コメットさんは地球で生き
ていける、というのは序盤でしっかり描かれまし
た。それを受けてシリーズ前半はコメットさんと
ともに「輝き」そのものを味わう話中心で、後半
は「輝き」を失った人が、どう「輝き」を取り戻
すか、という話でした。

そこで40〜41話はその「『輝き』の循環」の外
側にいる人の話です。「輝き」の「環」を描く以
上、その「外側」も描かねばならない、という意
味では必然的にやって来る話ですし、それが『コ
メットさん☆』という作品の最大のクライマック
スになります。今回のラストのコメットさんのセ
リフにあるように、「輝き」を失ったのではなく、
「輝き」が最初からない人の話。「輝き」を人と
共有することで他人と接してきたコメットさんは
どうするのか。

伏線になるのは24話『タンバリン星国の姉弟』あ
たりのエピソードで、ミラとカロンの話。この時
にコメットさんとメテオさんの「親」としてのあ
り方の違いがすでにはっきりしています。ミラと
カロンの本当の目的もタンバリン星国王子のお妃
候補であるコメットさんとメテオさんの調査だっ
たわけですから、ミラ、カロンに対するコメット
さんメテオさんの態度はそのまま、今回の前哨戦
ともなっているわけです。

ですから、今回もコメットさんは最初はケースケ
に化けたプラネット王子に、「輝き」を応援する
態度を取ります。というか、今回のラストまでは、
王子をケースケだと思っていますから、いままで
と同じく、「輝き」を失った人として扱うのです。
しかし、うまくいかない。

困ったコメットさんは、これも例によって、メテ
オさんのところに相談にいきます。メテオさんは
当然、(いままで見てきたように)スパルタな人
ですから、強引に海に連れ出せと言います。

コメットさんは自分のやり方に自信がなくなって
ますから、メテオさんのマネをします。しかし、
ミラとカロンに「それではコメット様らしくない」
と指摘され、戸惑うコメットさん。

業を煮やしたコメットさんは王子を強引に海の中
に落とします。そこで自分が見てきたケースケの
「輝き」を語ります。シチュエーション的には29
話『カスタネット星国の嵐』と同じ状況で、「ケ
ースケ」(である王子)に「輝き」を取り戻して
もらおうとします。

しかし、この「ケースケ」はケースケではありま
せん。「ケースケ」の「輝き」は、王子の「輝き」
ではありません。

他人の「輝き」を押し付けられている。王子はそ
う感じたはずです。

ケースケの姿を借りれば、コメットさんはやさし
くしてくれるはず、というおそらくミラやカロン
の発案なのでしょうが、そのことで逆に王子は引
きこもってしまう結果となります。ようやく、こ
の「ケースケ」が本物でないことがわかったコメ
ットさん。

「輝き」が最初からない人。
そんな人をどうするのか、というのが次回の後編
です。(2002/11/09記)