第33話『時には王女のように』


今回のサブタイトルを打ち込んでいてふと気づい
たのですが、
『時には王女のように』。
なかなか本質的なタイトルだと思いました。
特に『時には』とういうところ。
遊んでばかりいるけど『時には』、『決めるとき
には決めるのよ』という感じで、このタイトルを
付けたのが脚本のおけやさんなのか、他のスタッ
フなのかわかりませんが、よくわかってる付け方
だなあ、と思いもしますが(当たり前ですが)、
それとも、あまり何も考えてないんでしょうか、
例によってそのへんが謎です。

メテオさんには始めから「王女であること」とい
う自覚がありますが、コメットさんにはありませ
ん。景太朗パパの正装を見て「王女あること」を
思い出すというか、自覚というより事態を解決す
るための、その場かぎりのものというパターンは
いつもの通りです。

今回はバトン大会に向けて、みちるの自信回復と、
ミラとカロンの地球滞在日程を延長させるために
タンバリン星国議会を説得。その二つをコメット
さん、メテオさんの「『王女』としての役割」=
「『親』としての役割」というテーマで縫い合わ
せるようなストーリーラインで、脚本もなかなか
まとまりがありました。

このコメットさん、メテオさんの「親」としての
あり方の違い、それを軸に事態を解決する、とい
うラインはシリーズを通してある程度一貫してい
る気がします。先のタンバリン星国姉弟編もそう
でしたが、終盤のプラネット王子編(40・41話)
もこのパターンです。

ただこの「親」としてのあり方の違いというのが、
コメットさん=「母性的」、メテオさん=「父性
的」といった単純な分け方にはならないように思
います。

つまり、コメットさんは「輝き」があるかないか
で物事を見ていますから、「輝き」を大事にした
い、応援したい、見守りたいという意味では「母
性的」ではありますが、行動力を伴っていません。
「行動力」を肩代わりするのはいつもメテオさん
です。

メテオさんに限らず、コメットさんの行動、その
ものは事態を直接解決することには結びつかない
が、彼女の無垢な行為が(一見、思いつきだけで
トンチンカンに見える行為が)他のキャラを間接
的に動かし、事態が解決される。

それを今回メテオさんがムークとの会話でまとめ
ています。


「メテオ様はいじわる、と報告されるかもしれな
いわね」
「そういうことです」
「いつもいつもその手には乗らないわ。最後は結
局コメットに協力してしまうことになるんじゃな
いの〜。わたくしは『王女』よ。これ以上一国の
王女が、庶民とともに戯れていたら、『王女』と
しての尊厳が損なわれるのよったら損なわれるの
よ〜!」
「コメット様も『王女』ですが…」
「いいの。コメットはもともとどっぷり『庶民』
…」


コメットさんがメテオさんに(バトン大会に協力
してくれと)頼むやり方も、とても「行動力」が
あるものとは思えません。「大丈夫。願い続けれ
ば夢はかなうって」と、強引に協力を要請するだ
けで、「無垢」ではありますがメテオさんの言う
通りどう考えても「嫌がらせ」です。
あるいは「無垢」の押し付け、とも言いましょう
か。コメットさんは「無垢」だから、おそらくこ
れが「嫌がらせ」になってるとは気がつかないは
ずです。

そんなわけで、「嫌がらせ」に耐えかねたのか、
星国に帰らなければならなくなったカロンに感謝
されたからなのか、メテオさんは重い腰を上げま
す。協力する理由もメテオさんらしく、


「がんばった星ビトたちにご褒美をあげるのは、
星国の王女として当然の役目」
「なるほど」


これは7話『キラキラにすむ妖精』と同じパター
ンです。メテオさんの考え方は一貫しています。
そうして星力を使ってみちるを鍛え、大会そのも
のにも参加して協力することになる。

7話の時と違うのはみちるの前になかなか素直に
出ていけないメテオさんを、コメットさんがメテ
オさんをベタベタな魔法使い姿にさせて後押しす
るところでしょうか。

「母性的」と「父性的」というよりは、コメット
さんの「無垢性」(=「子供っぽさ」)と、メテオ
さんの「『王女』としての自覚」(=「大人っぽ
さ」)が対になっているような気がします。
だから、今回コメットさん、メテオさん、お互い
「王女」としての正装姿になるわけですが、メテ
オさんはマジな一方で、コメットさんはどこか
ごっこ」でやっているような印象も受けます。

最後のミラとカロンの帰還を、バトン大会参加の
ために延期させてほしいとタンバリン星国議会の
使いに「お願い」するシーンですが、それは景太
朗パパの、


「人は見た目じゃないって言うけどさ、一応こち
らの気持ちを見せるためにもピシッとした格好で
行かないとねぇ」


というセリフからコメットさんが、
「王女」としての「正装」をすればこちらの「気
持ち」は必ず伝わるという、「無垢」な素直な考
えで思いつき、それを実行するわけですが、結果
的には「王女」の「立場」を利用すれば相手は断
れないということだったわけで、必ずしも「夢は
願い続ければ必ずかなう、って本当だった」には
なっていないことに注意です。(2002/09/23記)