第26話『星力をください』

■「輝き」をねだるだけの姉弟
 そしてコメットさんの「『輝き』磨き」へ


今回はいわば「タンバリン星国姉弟」編の一応の
完結編。とにかくコメットさんが優しくすれば
するほど、「依存」してくるというミラとカ
ロン。この二人に関しては前回、前々回でそのキ
ャラ描写の問題点を指摘しました。そもそも王子
様探し目的なのか、コメットさんメテオさん両者
の素行調査が目的なのかがあいまいな点と、さら
に地球での使命そっちのけの「わがまま」ぶり。
で、どうやらこの「わがまま」をどう扱うかとい
うテーマ先行のためのキャラとしか思えない、と
いう点です。

コメットさんの「甘甘」なやりかたに我慢ならな
くなったのか、メテオさんが忠告します。


「今日という今日はもう我慢できないから言うわ」
「星国の王女、いいえ、『星使い』として、あな
たのやっていることはとってもとっても愚かだわ」
「…愚か?」
「間違いに気がつかないのね。やっぱり」
「…何が間違いなのかな」
「あ〜愚かよ愚か。ホホホ、オーホホホ。こんな
姿を見たら王子様はどう思われるかしら〜」
「え…?」
「いいの。そのままのあなたでいてねったらいて
ね」


結局、メテオさんの言う通りコメットさんは「そ
のまま」、変わらないわけですが、何故メテオさ
んはわざわざ忠告しに来たのか。王子様の気を自
分に引くのであれば、コメットさんの行動は放っ
ておけばいいはずです。にもかかわらず我慢でき
ずに言ってしまう。そこがメテオさんが人気があ
る理由だと感じます。
それは、ミラとカロンは論外としてコメットさん
自体も(その「行動」はよく見ると「一貫性」が
あるとは言え)感情移入しにくいのに比べ、メテ
オさんは「常識人」だからです。「女王的メンタ
リティ」ゆえかもしれませんが、「親」として誰
しもが納得するような「正しさ」を持っている
からです。

または、藤吉家を中心としたそれぞれのキャラは
共通して、一般視聴者から見ると「浮世ばなれし
ている」と感じる。そのなかでその「環」(たと
えば「『輝き』の循環」)のなかに入らない
メテオさんは期せずして視聴者のレベルに近
かった、そのため「親近感」があった、という
こともあるだろうと思います。


メテオさんに、やっていることが「間違ってる」
と言われたコメットさんはスピカおばさまに相談
に行きます。そこで「星の子」と「星使い」との
関係を諭されます。そこにも「『輝き』の循環」
があること、「星の子」のことを想うから彼らは
力を貸してくれるということ。コメットさんは
(当然)すっかり忘れてますが、これは23話で
すでにヒゲノシタに言われたことです。

さらに今回はここにケースケが絡みます。
「星国」の人間との対比で「地球の人は『星力』
がなくとも自分の力でがんばっている」という描
写として。もう一つは「星の子」と「星使い」と
の関係をコメットさんとケースケとの関係に置き
換える描写。「がんばっていると手伝ってくれる」
「応援してくれる」→「応援したい」という「置
き換え」。

ラストでケースケが遠くへ行ってしまうかも、と
いうシーンで胸がツーンとするコメットさん。そ
の原因をラバボーのせいにして、自分の「気持ち」
とは決して認めないコメットさん。

あくまで「恋」とは認めない。あくまでケー
スケの「輝き」を大切にしたい、応援したい。

今回のエピソードがきっかけで、これが「ケース
ケのようにがんばりたい」という動機づけに繋が
っていきます。それが次回以降の「『輝き』磨き」
です。

コメットさんとケースケの「関係」というのはそ
ういう「関係」なのです。これは13話あたりから
一貫していて、最後まで変わりません。


映像的には、このケースケの乗ったトラックを追
いかけるコメットさんのシーンはシリーズ屈指の
出来です。コンテ/演出は、ケースケとコメット
さんの関係の回が多い、佐士原武之氏。作監は、
シリーズ後半やたら濃い作画になることの多い小
丸敏之氏(特に「立体感」が強調されるように思
います)。ただ神戸監督にも、このシーンはかな
り意識して(リアルに)演出した、というコメン
トがあるので、監督と佐士原さんの共同演出なの
かもしれません。(2002/08/04記)