第12話『ラバボーゆうかい事件』

■メテオさんの性格、「定番」パターン


今回はパニッくんの誘拐「ごっこ」を「軸」に、
メテオさんの(後々幾度か頻出する)性格パターン
が垣間見える回、と言えます。

コメットさんに先んじて、(この段階では)王子
様かもしれないイマシュンの気持ちを自分のもの
にしようとするメテオさん。
星力で、自宅でコンサートを開かせ、二人の関係
を世間にアピールしようとする。
コンサートのことを知った沙也加ママはイマシュ
ンに「お熱」だから、コメットさん、ツヨシくん、
ネネちゃんはメテオさんにコンサートに招待して
くれるようにお願いする。そこでの会話。


「なんですって、なんですって、なんですって〜」
「ツヨシくんのおねがい」
「ネネちゃんのおねがい」
「コメットさんのおねがい」
「彼は、ワタクシだけのために来るのよ。ワタ
クシだけのために歌うのよ。な〜んであんたた
ちなんか」
「メテオちゃん、ケチはいけないよ」
「そうそう、ケチはだめよ。みなさんを御招待し
たら?」
「…ワタクシは、ケチじゃないったら、
じゃないわ」
「じゃあ、ごしょうたい?」
「ごしょうたい?」
「…するったら、するわよ、みなさんで
ど〜んといらして」
「やったあ〜さすがメテオさん」


メテオさんは風岡夫妻を星力で操っているはず
なのに、逆にたしなめられてしまう、というの
も面白いのですが、この会話に今回のメテオさん
の性格(行動)パターンがすでに示されています。

以前にも書いた、「女王的メンタリティ」ゆえか、
目的遂行のためには手段を選ばず策略をめぐら
す。しかし、一方で「悪い人」だとは思われた
くない(「悪いこと」はしたくない)というの
もある。思われそうになると、なんとか取り繕
うとして、奔走したりする(思わず事態を解決
してしまったりする)。しかも、それは王子様
がどこかで見てるかもしれないから、という理
由だけではない、というパターンです。

コメットさんも直観的に、メテオさんが本当はい
い人だというのがわかっている。

風岡夫妻にたしなめられて、一度は許してみたも
のの、やはりコメットさんがコンサートに来るの
は気にくわない。そこで、パニッくんの「ごっこ
遊び」に本気になってしまう部分を利用する。
しかし、「ラバボーの誘拐」が「おおごと」にな
ってしまう。

「誘拐なんて、人の弱味につけ込んだ、最低の犯
罪だよ」

というイマシュンのセリフが決定的で、メテオさ
んはまたしても動揺しはじめます。依然としてコ
メットさんのほうにイマシュンの気持ちが向いて
いるのにも我慢出来ない。
(イマシュンが王子様でなければ、あっさり捨て
てしまうのでしょうが)

パニッくんのラバボー誘拐行為も度が過ぎた「ご
っこ遊び」という描写のされかたです。
イマシュンもケースケも本気になって心配するし、
マスコミの人間たちも滑稽なほど、大騒ぎをする
一方でコメットさんは「誘拐」だとは思っていな
い。
(ラバボーのツッコミにもかかわらず)物事を悪
い方向へは考えないコメットさんらしいところ
がはっきりとわかります(そこが今回のテーマで
もあるようです)。

そしてパニッくんをたしなめたコメットさんは、
イマシュンを安心させるためか、ぬいぐるみのふ
りをしたラバボーをパニッくんに持たせて、コン
サートが開かれている風岡邸に向かわせる。
ラバボーを見てコメットさんを心配するイマシュ
ン。

そのイマシュンを見て、いてもたってもいられな
い、メテオさん。
どう考えても、一番事態を引っ掻き回しているの
は自分だ。そんな後味の悪い状況で、とても歌う
気にはなれない、と思ってしまうメテオさんはや
はり本当は根が優しいというか、いい意味での
(大人的な)「女王的メンタリティ」があるから
ということなのでしょう。

かといって、なかなか素直に謝れないというの
もメテオさんらしいところです。
(2002/05/19記)