ポン・ジュノ監督の、キャラの感情表現?をさりげなく強調?補完?する手法

眠れないので連続投稿。この監督は「ほえる犬は噛まない」と「グエムル」しか観てないけど、前に、残酷さとユーモアが同居してる作風が印象的と書いたね。それに加えて、「ほえる犬は噛まない」観て思ったんだが、それに加え、「ヒロインがピンチを切り抜けると紙吹雪が舞うなど、漫画的な演出も楽しい」という評があったが、同作品でぺ・ドゥナが、あるホームレスが食するために盗まれた犬を意を決して(ぺ・ドゥナのこの作品での役柄は、ちょっと小心者だったりするので)助けようとするシーンで、舞台はマンションの屋上なんだけど、近くのビルのいたるところで、ぺ・ドゥナと同じ黄色いフード服を着た集団が、黄色い紙吹雪を放って応援するシーンがあるのね。それが、別に決まった俳優がやるんじゃなくて、全然関係ない集団がしかもいきなり現れて、さらにしかもその現れ方が映画として不自然じゃないのね。そこがこの映画で一番好きなところ。あとはね、犬殺しをしてしまった大学講師が、ホームレスが犬殺しをしたんじゃなくて、自分がやったと告白するシーンで、自分が走る後ろ姿を見せるんだよね。このシーンの前には、ぺ・ドゥナが、その大学講師が犬をマンションの屋上から投げ落とすシーンを偶然目撃して、彼を追いかけるところがあるんだけど、後ろ姿しか見えないんだよ。顔はわからないわけ。で、先の、大学講師の告白で走る後ろ姿を見せるシーンに繋がるんだけど、そこでぺ・ドゥナと彼が走ってるシーンの横で、何かの運動部が集団で走ってるのがかぶるわけ。ホントにさりげないんだけど、先の黄色い紙吹雪の意味合いと同じなんじゃないかと思った。そういうわけでそんなところもこの監督の一つの作風なんだろうな。

さらに「グエムル」でも似たような作風があった。ある無人の商店に立てこもった家族が食事するシーンでさりげなくさらわれたはずの娘が出てくるんだよ。結局、それは娘の父親の夢だったということがわかるんだけど、何の説明もないの。

ぺ・ドゥナは出ないけれど、「ほえる犬は噛まない」の前作の「殺人の追憶」を観て確認しようと思う。

殺人の追憶
殺人の追憶ポン・ジュノ ソン・ガンホ キム・サンギョン

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starsこのケースの色は…
starsテンポはいいのですが、後味が悪いです。
stars韓流リアリズムの極地

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朝鮮日報 Chosunilbo (Japanese Edition) なぜ『グエムル』は日本でコケたのか?
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/09/07/20060907000028.html
これはもうどうしようもない記事なのではっきりいうが、朝鮮日報はバカだよね。救いようがない。

日本の主な映画サイトには『グエムル』に親しみを感じないという意見が多い。特に政府に対する信頼が強い日本人たちは『グエムル』の中で韓国人が韓国政府に不信を抱く内容が理解できないという反応だ。「映画でパク・ヘイルが火炎ビンを作るシーンにはどういう意味があるのか」と尋ねる日本人もいるそうだ。

グエムル』の中で普通にデモシーンが描けたり、火炎ビンを出せるところは、俺は羨ましいなあと思ったけど。
もし、上の引用通りに感じる人がいるとすれば、

安田講堂 1968‐1969
安田講堂 1968‐1969島 泰三

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stars東大全共闘が哀れだ
stars回想
stars民主主義の綻びが見えるとき、どうする?
stars現代の軍記物
stars当事者による貴重な記録

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で勉強すべき。例えば分かりやすい例で言うと、押井守あたりの学生運動に乗り切れなかった、乗りたくても遅すぎた世代は学生運動に対して過剰な思い入れがあり、よく語るわけだが(だから、押井守ケルベロス映画で散々負け犬自虐映画を作ったりしてるんだが)、内ゲバに至る前の純粋に活動していた当事者たちは、あの当時について沈黙を貫いてるようだ。そのへんの事情については、前にも取り上げたが、

ヘルメットをかぶった君に会いたい
ヘルメットをかぶった君に会いたい鴻上 尚史

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starsシュプレヒコールに耳を塞いで???
stars完璧に遅れてきた世代の“ピュアな想い”
starsいつか笑顔で会えたら
stars「これは小説です」と書かれているのは
stars想いがよくわかります

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にくわしく書かれている。