たまこラブストーリー

以前にも書いたかと思うが、個人的にTV版のアプローチの仕方がよく分からず、ずっと戸惑いが残ったままだった。具体的にはデラちゃんの役割がよく分からなかったというのもあるし、あの商店街自体にあまり魅力も感じられなかった。純真なたまこがその魅力を担保しているのかな、とも思ったのだが、ちと弱い気がした。

そのため、今回、劇場版で「たまこラブストーリー」というタイトルを聞いたとき、停滞しているように感じた物語がようやく動きだすんだな、個人的にTV版より素直に観られそうかなと公開前にすでに予想していた。

で、映画が始まって、TV版「たまこまーけっと」から分離された、前座である、たまこと商店街の人々から去ったデラちゃんの南の島(でいいんだっけ)での回想(TV版を観ていない層への説明を兼ねた)短編は本編の「たまこラブストーリー」への導入として上手く機能しているのは良かった。

たまこラブストーリー」本編自体は、冒頭でTV版と同じようなノリがしばらく続くので、「けいおん」の劇場版と同じく変わらないのかなあ、思っていた矢先、ネタバレになるから避けるが(といっても「ラブストーリー」だがら予想はつくよね)、あるきっかけでたまこの中で変化に対する戸惑いみたいなものが生まれ、自分の中で上手く処理しきれず、自分の内面を初めて?見つめる?ことになるからなのか、商店街に感じていた、あくまでたまこが感じていたらしい、居心地の良さが一瞬色あせたりして、個人的にTV版であの商店街自体にあまり魅力も感じられなかったこともあって、ああ、いい展開だと初めて納得出来た描写だった。

とはいっても、TV版から地続きなところもあるわけで、じつはTV版の印象がだいぶ朧気になっていることもあるのと、まだネタバレになるかもしれないので詳しくは言わないが、TV版で描かれた登場人物のエピソードを上手く利用しながら、ドラマをちゃんと昇華させていった印象があった。申し訳ないが、個人的に各キャラにあまり感情移入出来なかったので、キャラ語りは出来ないのだが、凝った演出、カメラワーク等は結構面白かった。そういう意味では予想通り演出、映像の技術面に関しては素直に観られることが出来た。