14話「魂は孤独?」

この回は序盤の勇の長セリフが有名だが、ユウブレンに対してのものではなく、自分の苛立ちや混乱した気持ちをぶちまけた語りである。それはユウブレンが帰還した途端に、ユウブレンに対して急に優しくなって態度が豹変することからもわかる。結局、勇はまだ自分の気持ちが揺れているものの、ユウブレンに接することでとりあえずの落ち着きを得る。
にもかかわらず、ジョナサンがクインシィにもしたように、勇を煽る。もっともらしいことを言っているように聞こえるが、確たる冷静な信念があるわけでもなく、ただ、ジョナサン自身が、自分の親子関係が上手くいかなかったことの八つ当たりを伊佐未ファミリーにぶつけて、ぶち壊そうとしているだけだ。
総じて今回は勇の気持ちの揺れを描いているわけだが、比瑪は勇の親代わりとして慰めることは出来ていない。ラッセの覚悟や、カナンの弱さに触れて、少しずつだが、勇は自分の荒れた心をおさめようとあがいている。

オルファンもまた、人間にとっては巨大な存在だが、この作品の登場人物と同じく救いを求めているかもしれない迷える存在であり、その意味では勇たちと同レベルである。オルファン自身も「情」のレベルで救われたい兆しがあるからこそ、人間との穏やかなコミュニケーションが可能かもしれないのだ。「イデオン」の「イデ」も、超越存在でありながらも自分が救われたいがための迷える存在であったかもしれないが、あまりに頭でっかちで、「知性」にすべてを求めすぎて、あまりにそのやり方が過激だったと言える。それは言い方を変えれば、当時の富野がまだ若かったからだ。