第35話『雪のダンス』

■「大丈夫」ということ


今回も32話『ノコシタオバケがやってくる』に引
き続き、3〜4才の「願望実現」話と言えます。
ツヨシくんネネちゃんがコメットさんに頼らず事
態を解決する、と言ってもすっかり丸くなったメ
テオさんやコメットさんが結局は助けてくれます。

そこには「成長もの」のような「ドラマ」の起伏
はなく、例によって脚本のおけやさんの「連想」
による繋げ方で、メテオさんのちょっとズレた行
為が最終的にはツヨシくんたちの願望が実現され
てしまうように繋がる。

その言わば「甘さ」=「『がんばらせてみる』と
いう『親』の視点」が今回も絶えずあります。そ
の意味で象徴的なのが今回、やたら「大丈夫」と
いう言葉を連呼することです。

アニメージュのおけやさんのインタビューで、
コメットさん☆』、『ぶぶチャチャ』などの
キッズアニメ」に一貫したテーマとして、まず
子供に「大丈夫」と思わせる、安心できる「世界」
を作り、その上で「ゆとり」を持って見えてくる
もの、子供の感じ方を大事にする、というのがあ
ります。「感じ方」が大事なのであって、それゆ
えに3〜4才の「成長もの」にまでは踏み込んで
いません。「説教」めいたものもありますがそれ
ほど強くはありません。『コメットさん☆』にせ
よ、『ぶぶチャチャ』にせよ、その方向性は貫か
れているような気がします。

ただ『ぶぶチャチャ』であればそれだけで良いの
ですが、『コメットさん☆』の場合、「親」側に
立つコメットさんも主人公であるだけに、構造が
複雑になっています。

つまりコメットさん(メテオさん、ケースケなど
を含む12〜3才のキャラ)の側は、「親」とし
て3〜4才の子供のために安心できる「世界」を
維持しなくてはならない。そのことを彼らは背負
わされている。そのために、3〜4才の「世界」
では触れてはいないシビアな部分を、12〜3才
の話では扱うようになってしまう。「輝き」とい
う言葉についても、3〜4才ではあまり追求しな
いものを、12〜3才では結構突っ込んでこだわ
っている感じがあります。

コメットさん☆』の最期は次回からの12〜3
才の「『親』たち」の話で締めくくられます。だ
から3〜4才向けの「願望実現」話としては今回
で最後と言っていいでしょう。

コメットさん☆』という作品は全体のバランス
を考えたとき、結果的に12〜3才の話のほうが
ウエイトが大きいと感じます。だからスタッフが
視聴ターゲットを3〜4才と設定しながら、実際
出来上がったものはその「親」たち向けの作品に
なっている。

最期の展開に入る前にそれをとりあえずの結論と
して言っておきます。(2002/10/07記)