第32話『ノコシタオバケがやってくる』

放映当時、『コメットさん☆』にはどうも「絵本
的」要素があるのではないか、と睨んでいたら案
の定やってきた「絵本」ネタが今回。

ケースケのオーストラリア行きに途中までつき合
った景太朗パパの不在中、まずコメットさんが頑
張ったのが前回なら、今回はツヨシくんが頑張る
話です。

「北風ピープーくん」の絵本を引き合いに出し、
ネネちゃんの事を思って、ツヨシくんも冷たいこ
と言った、とフォローするコメットさん。
しかし実際ツヨシくんがそこまで考えていたかと
いうと、どうも怪しい。それははっきりと描写さ
れています。
後半でそのツヨシくんもピーマンを残したことが
わかるわけですが、それではツヨシ、ネネの二人
が嫌いなピーマンを食べられるようになるまでが
ドラマの主軸かというとそうもなっていませんし、
「北風ピープーくん」の教訓も今回の結末と繋が
ってはいないように見えます。
さらにラストの帰ってきた景太朗パパにみんなが
抱きつくシーンも非常に良い描写なんですが、テ
ーマ的に繋がるわけでもありません。

結局、「食べ物を残すとノコシタオバケが出てく
る」、「ノコシタオバケの存在を本気で信じる」
ツヨシくんネネちゃん、その「絵本的」な雰囲気
を描きたかったような気がします。
そしてそれをアクション、ホラー風味でやってみ
たかったということなのでしょう。ホラー風とい
うことで言えば、たとえば沙也加ママがピーマン
料理を運ぶカット、あおり気味の正面で奥からゆ
っくり歩いてくるところなどはホラー演出として
は優れています。他にもツヨシくんネネちゃんの
目線を重視したためか、あおりのカットが多かっ
た気がします。

絵本を読みきかせて、その内容に本気になってし
まう子供の気持ちそのものを大事にする。それを
発展させて、「絵本的」世界を追体験させてやる。

コメットさんがツヨシくんにバトンの使い方を教
えるシーンなどにそれは象徴されているようにも
見えます。つまりツヨシくんに頑張らせてあげて
みるという印象を受けます。前回がコメットさん
に頑張らせてみる、という話だったように。

これもある種の「3〜4歳」向けの「願望実現」
話といえるかもしれません。 (2002/09/15記)