第28話『お手伝いできること』

オーストラリアに行ってしまうケースケ。その出
発の同じ日に優衣さんにファッションフェスタを
手伝ってくれないかと頼まれるコメットさん。

他人の「輝き」を応援することを拒否できないに
もかかわらず、ケースケに対しては何の「手伝い」
もできないことと、しばらくは彼に会えなくなる
さびしさを忘れるために、いったんはその依頼を
OKしたものの、やはりケースケのことが気になり
結局はメテオさんに優衣さんの手伝いを任せ、ツ
ヨシくんネネちゃんとともに、出発したケースケ
と景太朗パパに会いに行く。

この今回のストーリー構成は前回27話の構成とま
ったく同じです。

違うのはケースケとコメットさん、二人がしばら
く会えなくなるという状況の出現で、お互い相手
に対する態度をはっきりさせる、ということです。

基本的に何も変わらないコメットさんは、自分と
「星の子たち」との関係をケースケと自分との関
係に置き換え、自分がケースケにとっての「星の
子」であるといういままでどおりの位置関係で納
得する。

そして逆にケースケは成長するキャラなので、


「あいつはあいつで頑張ってるんでしょう。他人
のために一生懸命になれるやつ、なんですよね、
あいつは。だから俺も頑張らないといけないなっ
て」
「…だから好きだったんだろ? 言えって、叫べ
って」


コメットさんがどういう人間で、どこに惹かれた
のか、そして「惹かれた」という自分の気持ち自
体もついに認めます。景太朗パパがあえて沙也加
ママに「愛してるよ〜」と叫ぶのも、コメットさ
んに対してなかなか素直になれないケースケに手
本を示したとも読めて、その「大人ぶり」が素晴
らしく見えます。

結局、ケースケとコメットさんとの関係も、『コ
メットさん☆』という作品のメインテーマでもあ
る「『輝き』の循環」、「輝き」を与えあう関係、
お互いがお互いの「輝き」で元気づけられる関係
であるということになります。

そしてそれは彼らだけでなく、たとえば今回の優
衣さんと鹿島さんとの関係などや、あるいはキヨ
ッチと明日香の関係も、普通なら恋愛関係と描い
てしまうものを、「輝き」を与えあう関係として
描写されています。

つまり恋愛関係を「輝き」の関係として「翻訳」
して描写する。

それがこの作品の作風でありかつテーマであると
言えます。それゆえに、作品そのものを象徴す
るコメットさんが(自分の)「恋」を認めない、
というより「認識」すらできないというのは
なかなか意味深で面白いのです。

さらに突っ込んで付け加えると、「恋」を「輝き」
として描いてしまうのなら、「恋」自体は描かれ
にくくなってしまうことになる。

しかし、作品中、「恋力」など、言葉としては
「恋」という言葉が登場する。

これが本作においてどことなく「恋」という「概
念」がよそよそしい感じ(『コメットさん☆』の
「外部」にあるはずの「恋」が作品中にむりやり
導入されてしまう感じ)がする理由かもしれませ
ん。

そしてそれは具体的に「恋力」が発動したときに
「え〜またあ〜」と嫌がるコメットさんの描写だ
ったり、執拗に「恋力」を否定するヒゲノシタの
描写などに顕われている気がしてしまうのです。
(2002/08/18記)