第18話 『戦うロボ』

今回の流れとしては、

アバンタイトル、王妃のナレーション、
「友達もたくさん出来て」「いい関係をいっぱい
築いて」「ライバルのメテオさんとも…どうなん
でしょうねぇ」
と、謎のにごし方。

ツヨシくんとパニッくんによるメタルスーツロボ
のおもちゃの戦いで、ネネちゃん(と太一くん)
の砂のお城が壊される。

男の子は「戦い」が好き。

ネネちゃんもロボで遊んでみたい。

「女の子」の遊び的?なヌイビトによる「着せ替
え」で巨大メタルスーツロボ(ネタ元、「メタル
スーツ」→「モビルスーツ」、「装着」→「蒸着」
(「宇宙刑事」))になるネネちゃん。

それを見て、「男の子」である。ツヨシくんもロ
ボになりたい。

「でも建物壊しすぎ」。
(全般的にあちこちで「戦う」、「壊す」という
言葉が強調)

「ロボを止められるのはロボだけだよ」
という屁理屈。

結局、「戦いごっこ」をしてしまう、ツヨシくん、
ネネちゃん。
2人を追っかけるコメットさんも楽しい。

メテオさんはこれを自分に対する攻撃と勘違い
(お約束)。

メテオさんとのドタバタ。

「戦うのは嫌い」
「姫様はツヨシくんとネネちゃんを守ろうとした
んだからしょうがない」
「メテオ様のほうから襲ってきたんだし」
「メテオさんとも仲良くできるって思ってたのに
な」
「戦うものがあるから戦いがはじまってしまうん
ですの」

ツヨシロボとネネロボ、浜辺に巨大なお城を作る。
「ロボは戦うだけでなく、作ることも出来るんだ
ぼ」

王妃ナレーション。
「ネネちゃんに大切なことを教えてもらったみた
いね」
「考え方を変えれば、いろいろなことが出来る、
ということなのね」


ツヨシくん、ネネちゃんのやってることとコメッ
トさんとメテオさんのやってることも、結局、同
じ「ごっこ遊び」的だと括ることもできるかとは
思いますが、今回のメテオさんはどう見ても悪く
なく(前回からの流れで、風岡夫妻を気づかった
りしさえしますから)、コメットさんの「大雑把
さ」に振り回されたあげく、
「どうして仲良くできないんだろう」
とまで言われて踏んだり蹴ったりで、「お約束キ
ャラ」の位置に押し込められた感じがあります。

まあ、コメットさんとツヨシくん、ネネちゃんの
ごっこ遊び」に利用にされた、といえばそれま
でなのですが、ラストの王妃のナレーションでも、
アバンで振っといてまったく無視はないだろう、
とも思います。
コメットさん自体が「ボケ」で変わらない、とい
うのはそれはそれでいいのですが、本来ニュート
ラルな立場であるはずのナレーションにも何らか
の「ズレ」を感じます。実際、他にも本編とナレ
ーションがズレている回がこのシリーズには少な
からずあります。

また、今回はテーマが実にストレート過ぎると言
いますか、言葉の上っ面だけ(例の「言葉の連想
だけで繋げる」書き方)で書かれているという印
象を持たれやすく、悪い意味で「道徳的」です。
今回は「3〜4歳」向けと言えそうですが、「3
〜4歳」向けの回は「甘い」話(キャラに「甘い」
というのと、作りが「甘い」の両方)が多いとい
うことに気づきました。

これは推測ですが、おけや氏は「3〜4歳」を描
くときは、ともかく子供の「願望」を叶える、と
いうのが「主眼」で、子供が悪いことをしても、
たしなめはするものの、あまり子供が傷つかない
ような(脚本上の)おさめかたをする。

まず何よりも、子供に『大丈夫』と言う「世界」
アニメージュのインタビューにもありましたが)。
「『世界』はお前のことを決して裏切らない」、
という姿勢。

面白いのは、その一方で、「12〜3歳」を描く
となると、とたんに厳しくなるような傾向を感じ
ます。つまり、

「『世界』はお前に微笑む(甘い)ばかりで
はない」、という姿勢。

そういう2つの年齢層に対する姿勢の違いがある
ような気がします。

(ここで、これが、おけや氏の教育思想?の結果
なのか、リアル演出志向の神戸監督の手が入って
いるのか、という突っ込んだ論点が出てくるので
すが、とりあえず、話は広げないでおきます)

これははっきりと「成長もの」の構造ではないで
す。成長ものであれば、少なくとも一人のキャラ
でこの「3〜4歳」から「12〜3歳」への移行
を段階を踏んで描きます。それが王道のパターン
です。またそれがオーソドックスな「カタルシス
ともなります。

コメットさん☆』ではこの2つがあくまで作劇
構成の違いとして分離したままなのです。
たとえば16話『竜宮城を探そう』がそうであっ
たように一本の話の中でさえもそうなのです。
そして、コメットさんというキャラクターは、何
度も言ってきたように、作品構造そのものを体現
していますから、その2つが分裂したまま、コメ
ットさんのなかで同居している。

これが「感情面」で「雑」に見える理由だと思わ
れます。(2002/06/16記)