第18話『刃の脆さ』(2003/01/25放送)

脚本/野村祐一
コンテ/北村真咲
演出/羽生尚靖
作監/井上哲

■ゲイナー・サンガの前回のあらすじ。
「ガンガランの難民が、ヤーパンの天井に流れ込んで、ピープルの対立が激しくなった。シベ鉄はそれを煽るオーバースキルを繰り出してきた。それは、人の心がわかってしまうというやつだった。本心がわかると人間関係が悪くなるというのは悲しいけど、僕はそれを逆手に使って敵を撃退した。おかげで、大恥をかくことになったけど」
■ヤーパンの天井。
日曜日。サラに呼ばれて学校に来たゲイナーの妄想はふくらむ。
ゲイナー「(芝居調で)気づいてないのかい、サラ。着飾らない、普段のままの君が、僕には、一番、魅力的なんだよ!(サラの立場で)わたしも、自分で言って勝手に照れてる、そんな、ウブな、ゲイナー君が、好きよー。(普段の口調で)ゲイナー・サンガ、サラのハートにオーバーヒートだ!」
■サラがやってくる。同時に、またしても謎の波動が流れる。
サラ「あの、あたし、やっぱりあなたに何て言ったらいいのか…ごめんなさい」
そのまま去っていく。
ゲイナー「ちょっと待ってサラ! サラ! なんだろ…そりゃ、僕だって、不安なことはいっぱいあるさ。就職しなきゃ学費だって払えなくなるしさ…」
■アデットが得体のしれない、ハロウィン風のパンプキンパイを運んでいる。
コナに、パーツと交換させるためらしい。そこへ波動が。
アデットの側を部品を盗んだリンスが駆けていく。それを追うコナ・マダヤ。さらにそれを追うアナ姫。
アデットはコナに話しかけようとするが弱気(?)になったのか、出来ない。
■シルエットマンモスのブリッジ。
ママドゥにリュボフがお茶(ヤーパンティー)を運ぶ。
茶柱が立っている。
しかしそこへ波動が流れ、茶柱が倒れる。
■ヤーパンの天井のあちこちで、謎の波動は猛威をふるい、ピープルの不安を増大させていく。
■その波動の元は、またしてもシベ鉄のカシマル・バーレ操るオーバーマンの仕業だった。
その新オーバーマン、デスネッタは、巨大な球体の上に前回のプラネッタを合体させたような形状で、球体のアンテナから「人を不安にさせる」波動を放っていた。
それは、デスネッタのまわりにいたジャボリ、ケジナン、エンゲまでも不安にさせてしまう。
カシマル「オーバースキルは順調に発動しているようですね。さっさとウェーブ遮断メットをおかぶりなさい!」
遮断メットをかぶったジャボリ、ケジナン、エンゲの三人はドーベッグで「ヤーパンの天井」へ。
■自室で不安にかられるゲイナー
■時代劇風書き割り(?)を背景にニンポー姿のガウリが他のニンポーと戦っている。
「『エクソダス』に反対しているサンガ教授とは話し合いで…」
「そうです、話し合うべきです」
ガウリ「限界を越えたんだ。ムッ」
ガウリ、斬る。
倒れたニンポーの一人の顔がゲイナー。それはサラに変わって、
サラ「どれだけの血をもってすれば、『エクソダス』を支えられるのです。ヤーパンの地に辿り着くまでに…」
ガウリ「サラ、聞いてくれ」
ガウリ、そのニンポーにとどめを刺す。
そこでガウリは目を覚ます。
ガウリ「なんて…夢だ…」
そこへベローからガウリに指揮所に来てくれとコールが。
■サラ、拳銃を自分に向けて、
サラ「ゲイナー君の両親を殺したのはガウリ隊長。でもそれは、私達が『エクソダス』の第一歩を踏み出すために、どうしても必要だった、犠牲…(拳銃をホルダーに戻し)そんなこと、言えるわけないじゃない」
■指揮所(バッハクロンのブリッジ?)にはベローのほか、ゲイン、アデット、ママドゥが集まっている。
ゲイン「先日の手口と同じシベ鉄のサイコアタックとしか、考えられないよな…俺、間違ったことを言ったか?」
ゲインまでが不安になっている。
アデット「カシマル・バーレなら、やりそうな手口なんだけどね…」
ゲイン「親しかったのか?」
アデット「誰があんなやつと!」
ゲイン「しゅ、趣味が悪い人なんだ、その人」
アデット「そ。自分の手は汚さないって奴でさ」
ママドゥ「このままですと、ピープルの不安が増すばかりで、『エクソダス』は…」
■そのやりとりを指揮所の外で聞いていたガウリは引き返し、サラとはち合わせになる。
ガウリ「隠しておくつもりはなかった」
サラ「ガウリ隊長ですものね…」
ガウリ「たとえ一人になろうと、この『エクソダス』、立ちはだかる者は何人たりとも私は斬る」
■ケジナンたちが「ヤーパンの天井」に対して攻撃を開始する。
出撃するアデット。不安なのか、アデットに自分も出ていいかと聞くゲイン。
しかし、ケジナンたちは遮断メットが壊れて不安になったのか、撤退してしまう。
それを見たゲインは悪い方にとる。
ゲイン「あの行動の裏には、きっと計り知れない陰謀が…」
アデット「不安材料は、いっぱいあるんだよね…」
そして、ガウリが単身ガチコで出ていったことが判明する。
■ガウリ「心のわだかまりがだんだんと大きくなる…間違いないな。元凶はこの正面にいる…」
■自室で引きこもっているゲイナーをアデットが叩き起こす。
■カーゴではアナ姫が不安で泣いている。
何かやっていないと耐えられない、とサラが作業用のシルエットマシンで出て行く。
■ガウリの元にやってくる、オーバーマン・デスネッタ。
ガウリ「何というオーバーマンだ。あの形を見るだけでも不安になってくる」
カシマル「ふふふっ、あなたのような迷える子羊がきっと現われてくれると思ってましたよ。我がデスネッタのオーバースキルで、あなたを導いてさしあげましょう!」
■ガウリ、「不安にさせる」オーバースキルの波動をまともに喰らう。
ガウリ「くっ…そうだよな、『エクソダス』なんか成功するわけはない。ヤーパンに行けば灼熱と台風があって…米なんか取れるわけないんだ」
アイキャッチ
■カシマルのデスネッタの元に、ケジナンたちのドーベッグがやってくる。
三人に、「不安」のウェーブはもう必要ない、ガウリのガチコに爆弾を運ばせると言うカシマル。
デスネッタの球状の部分から触手が伸びてガチコに絡んでいく。
■カシマルの言葉通り、「ヤーパンの天井」でも「不安」の波動が止む。
それを察知するゲイン。
キングゲイナーでガウリの元へと向かうゲイナー。
ゲイナー「じっとしているより動いている方が楽だっていうのは、アデット先生のおかげか…」
アデット「不安がっていたって、何も起こりゃしないんなら、動きゃいいんだよ」
アデットも赤いドーベッグで出る。そして先に出ていたサラを追い越す。遅れてゲインも出る。
キングゲイナーに向かって、三機のドーベッグに囲まれた、ガチコがやってくる。
ただし、ガチコには「蜘蛛」形態に変型した(?)デスネッタの球体部分が合体している。
■一方、カシマルの乗る人型部分のデスネッタは、「不安」波動を発するアンテナを抱えて奇妙な走り方をしている。
カシマル「あ〜なたのこころに、不安の花を咲かせるその種が、ほ〜ら目の前にあるでしょ〜」
■カシマルの言葉に操られるがままに、ガウリはキングゲイナーに攻撃を仕掛ける。
■アデットは五賢人のOKが出ればガウリを討つという。それを止めるサラとゲイン。
アデット先生は護衛に回れというゲイナーに、アデットはあとは任せたと引く。
■ガウリ「人をおどかし、おびえさせて!」
ゲイナー「隊長! しっかりしてください!」
■カシマル「そぉ〜ら見えるようになりましたよ〜。あなたのこころに大きな影を作るシベリアのゴミ。あれを消し去れば、こころは解放されます!」
カシマルはガウリを「ヤーパンの天井」に向かわせようとする。
■アデットはケジナンたちと同機種のドーベッグに乗っていたおかげで、カシマルの通信を聞くことができ、ガチコに爆弾が仕掛けられていることを知る。
■ゲイナー「ガウリさん! キングゲイナーのゲイナーですよ!」
ガウリ「私は体が言うことを聞かないんだ! だから、俺を撃つんだ、ガチコもろとも!」
ゲイン「ガウリだけをつまみ出せ! そうすりゃあとはなんとかする! 近くで狙うと、ガウリが気になって撃てないんだ」
ゲイナー「…つまみ出せって、言ったって…」
ガウリ「これでも撃てないのか、ゲイナー。俺はお前を殺そうとしてるんだぞ!」
ゲイナー「僕にガウリさんを殺せるわけがないじゃありませんか!」
ガウリ「私が君のご両親を殺したと言っても、私を殺せないのか!」
ゲイナー「なに!?」
サラ「ガウリさん…」
ゲイン「…ガウリ…」
ゲイン、ガチコに対してライフルで狙いをつける。
ガウリ「これで君は私を撃てる」
ゲイナー「…はい」
サラ「やめて、ゲイナー!」
■サラのシルエットマシンを邪魔したエンゲを、アデットが追い返す。
サラはコックピットから出て、ガチコの前に出る。
サラ「ガウリ! ガウリは隊長さんでしょ! 自分で降りてみせて! そういう力のある男でしょ!」
ガウリ「言っていることはわかるが、しかし、俺を縛っている奴がいる」
■ゲイナー、ガチコがリモコンで動いていることを知り、その発信源を辿る。
ゲイナー「ますます不安になるから、やってみるんだ!」
キングゲイナー、あたりかまわずチェンソーを振り回す。
と、空の一部が割れ、カシマルのデスネッタの姿が現われる。
キンゲチェンソーが偶然、「不安」を発するオーバースキルのアンテナ装置を破壊したらしい。
カシマル「ちょっと待ちなさい! 不安の元になるところに飛び込んでくるバカがいますかあ〜!」
■「ヤーパンの天井」に迫るガチコ。
サラがガチコを止めようと、コックピットに乗り込む。
ゲイナーはそのサラといっしょにガウリをピックアップする。
■誰もいなくなったガチコをゲインが狙撃。デスネッタと合体したガチコは爆発する。
■結局、ガチコのパーツで残ったのは左腕の、「ブリュンヒルデの腕」だけだった。
ガウリ「(ゲインに対して)すまんことをしたな」
ゲイン「ガウリ」
ゲイン、ガウリを軽く殴る。
ゲイン「今のはガチコの分だ」
ゲイン、少し強く殴る。
ゲイン「こいつは思いきり心配した、みんなの分だ」
そして最後に強く殴る。
ゲイン「ゲイナーの分だ!」
ゲイン「少しはサッパリしたかい」
ガウリ「おかげさんでな」
アデット「アハハハッ」
ガウリ「そりゃおかしいだろ、みっともないだろ」
アデット「そんなことありゃしないよ。いいじゃない? あんたの生き方に男を見たね。惚れるぞ、ヒューズ・ガウリ」
アデット、ガウリにキスしようとする。
ガウリ「やめろ〜放さんか〜」
コナ「じゃ、あたしもだ」
ベロー「俺もだな。隊長〜」
そうやって、みんなはガウリを許す。
■夕日の当たる教室。ゲイナーとサラの二人。
サラ「じゃあ、あたしがいなければ、ガウリ隊長をやっつけていた?」
ゲイナー「僕はガウリさんを許さないよ。許すなんてことできない。許せるようになりたいとも思わない。でも、ガウリさんには、僕のそんな思いを背負って、
たくさんの思いを全部背負って、一生懸命に生きてほしいって思う」
サラ「くやしくって、泣きたいなら、泣いていいよ」
ゲイナー「だからさ、ずるいってんだよ」
サラ「ずるい?」
ゲイナー「ここに呼び出だしたりしたときも、何だったんだよ。なんか、あいまいに事を進めようってすることあるじゃないか」
サラ「ガウリさんのこと話そうとして…家でとか、そのへんでって気になるわけないでしょ」
ゲイナー「そりゃそうだ…そうかもな…」
サラ「ごめんね」
ゲイナー「い、いや、いいんだよ。そりゃ、もっともな、ことなんだから…」
ゲイナー、泣く。
サラ、そっとゲイナーの頬に顔を近づけて、
サラ「ごめんね、ゲイナー」

このエピソードに関しては、アニメ版では不十分だったので、コミック版で上手く描かれることを期待しています。