第8話『素敵なドレスづくり』

■コメットさんの大雑把さ


デザイナーの卵、前島優衣さんを「軸」にコメッ
トさんとメテオさんの違いがはっきり出る回。

ネネちゃんのためにウェディングドレスを作ろう
とするコメットさんですが、うまくいきません。
で、このときのラバボーのコメットさん評が実に
適確で、そのままコメットさんのキャラ説明に使
えそうなほどです。

「だいたい姫様はどんなドレスを作ろうと思って
たんだぼ?」
「適当…だけど?」
「て…!? 適当はだめだぼ!」
「だめ? 気持ちは込めたんだけど…」
「そりゃだめだぼ。気持ちだけじゃ、ちゃんとカ
タチを決めなきゃ変になるぼ」
「そうなの?」
「姫様は意外と大雑把なところがあるぼ。
無頓着というか、行き当たりばったりと
いうか」
「…カタチって、どうやって決めるんだろうね」
「ほ〜ら、他人の話聞いてないし」
「デザインだね! そうだ! デザイン教えてく
れる人のところ行こっ!」
「ほ〜ら、ほ〜ら、いきなり思いつくし」

これがコメットさんの基本的行動原理です。
今回もこのまんまのことを優衣さんに対して行い
ます。他のエピソードでも同じなので覚えておく
と面白く観れます。

「すぐに何でも手に入るものではないってこと、
わかるかしら?」

とは優衣さんの先生である花村志保氏の言ですが、
実は、これは5話『ゆっくり王国づくり』と同じ
ことだというのがわかるでしょうか?
コメットさんは「成長」しないので、またここで
もくり返します。というより、「気持ち」だけで
突っ走るような、 一番素朴な「気持ち」、「動機
づけ」をコメットさんという人は大事にするのか
もしれません。
それを「輝き」と言うのかもしれません。


■メテオさんの「位置」(3)


それに対し、メテオさんはどうか。
メテオさんが何か「浮いている」理由。
それは、彼女だけ「輝き」と関係がない、という
ことです。今のところは。
コメディリリーフのように見えて、よくよく考え
てみるとメテオさんの行動原理は前回でも触れま
したが星国の王女として、当然のことをしている
だけなのです。
むしろコメットさんの方が王女らしくないわけで
す。

ウェディングドレスづくりを王子様に取り入るた
めの道具と考えてしまうのもメテオさん的には少
しもおかしくない。
失踪した王子様を探し出し、自分の方を振り向か
せようとする。
その「行動」はカスタネット星国の将来の為にな
ることだから。

では、「王女として」ではなく、メテオさんの本
当の「気持ち」は?

王女として、そしてコメットさんに勝つために、
コメットさんの「輝き探し」の後を追う。そして
それが、実はメテオさん自身の「輝き探し」(陳
腐な表現で言えば「自分探し」)になっている。
王女(女王)メンタリティと自分の「気持ち」と
の間に「ズレ」が生じ始める。

作劇の構造上、コメットさんの「成長もの」のよ
うに見えますが、コメットさんが「コメットさん」
である限り(この意味は後半で書きます)、彼女
は最初から「変わらない」。一方でメテオさんの
方こそが「変わる」、「成長する」物語になって
いる。

それがこの作品のメインの見どころです。
(2002/04/20記)