映画ドラえもん『のび太の恐竜2006』評(幻視球)

http://bono.chips.jp/archives/2006/03/dora2006.shtml

結局、自分が本来のお客さん(=子供)ではないことをこそ悔やむべきで、子供仕様フルチューンの映画を、大人も「それなりに」楽しめたことの凄さを記憶にとどめたい。

これは自分も同じ気持ちでした。そして、かつて「となりのトトロ」を劇場公開時に観たときに感じた気持ちも思い出しました。
あの当時、宮崎駿の「ラピュタ」直後、押井守監督、宮崎脚本の、バブル期の日本(東京)を舞台にした冒険活劇もの、という実現しなかった企画(「アンカー」というタイトルでした)があったんです。自分はそれに非常に興奮しつつ期待していたので、その企画がぽしゃった後、宮崎が「トトロ」を作ったことを「後退」だとしかどうしても思えませんでした。押井守の方は「パトレイバー劇場版」で、彼なりにそのテーマを咀嚼し、表現して行くわけですが、とにかく、「トトロ」に関しては「後退」したとしか感じられなくて、劇場で子供たちが実に喜んでいたにもかかわらず、自分はといえば、かなり苛立っていた記憶があります。まあ、若かったんでしょうね。今では「トトロ」って宮崎が実に素直に作った作品だと認められるようになりましたが。