で、結論

去年、シリーズ前半のときにも書きましたが、基本的にはギャグテイストでありながら、その土台としてシリアスな「重み」があるのが『ジェッターズ』らしさだと思っています。映像演出面から言うと、カメラ(フレーム)固定+レイアウトを意識した止め画主体の画面、それをモンタージュで繋いで物語を見せていく手法によって現れる「重み」と「緊張感」。それがそのまま、物語上のシリアスな「重さ」に繋がっていました。しかも、説明を省略することによって「らしさ」を出す、ストイックかつスタイリッシュな表現は、思わせぶりに見え、伏線を張るには一番適した手法で、このためか、あらゆるシーンが伏線になりうるといっても過言ではなく、後半、あ、あれは伏線だったのか、と思わせるようなことがたびたびありました。

そしてギャグに隠れたシリアスの「重み」は、2クールに入るにつれ、だんだんと表に出始め、その終盤では、ストイックかつスタイリッシュな演出法と、シリアスドラマの盛り上がりが相乗効果となり、画面は凄まじいテンションを生み出していました。

おしむらくは、兄弟のドラマを描ききるためとはいえ、3クール以降、シリアスドラマがメインになり、ギャグとのバランス、それによる『ジェッターズ』らしさが少し失われてしまったことです。さらに、4クール目に入り、伏線を張るには功を奏していた説明を省略する思わせぶりな演出も、伏線消化で、説明をしなければならない時には使えず、そのことでいっそう演出は普通となり、画面の緊張感も失われ、セリフで説明しているのみ、という印象を強くしてしまっていました。

それでも、終盤の終盤になって、ギャグとシリアスを同等に扱うような『ジェッターズ』らしさが復活し、改めてこの作品の凄さを味わいました。また、ドラマ的には、兄弟テーマだけに集中し、それを一年かけてじっくりしっかり描き込み、シーンの丹念な積み重ねによる深みは、主に脚本面の弱さがよく指摘される最近のアニメの中では珍しく、賞賛に値すると思っています。