第24話『タンバリン星国の姉弟』

■「対立軸」のシフトと
 ミラとカロンの「印象の悪さ」


後半戦です。

ミラとカロンの登場。ここから「対立軸」が変わ
り始めます。

すなわち、「コメットさん対メテオさん」から、
「コメットさん、メテオさん」対「ミラとカロ
ン、プラネット王子」の構図です。

テーマ的に言い換えれば、「『輝き』を持つ者、
『輝きの循環』の『環』の中にいる者」対
「『輝き』を持たない者、ねだるだけの者、
『輝きの循環』の『環』の外にいる者」の構図
です。

これについては後のエピソードで語られるのでこ
こでは書きません。しかし、何故そうなるのか、
その「きっかけ」が今回の話にはあります。

それはミラとカロンのキャラ設定上の「矛盾」で
す。

正体が結局カロンであった「謎のライダー」が、
ある段階までは「王子様」の予定で引っぱってい
たこと、そして「王子様」の登場が早すぎるので
は、という「製作上の理由」でカロンに途中で変
更になったらしいことは、神戸監督のコメントで
明らかになっています。だから「ライダー」とカ
ロンの繋がりの悪さの理由はそこにあります。

もう一つはミラとカロンというキャラを使って表
現したいことと、物語上の設定がうまく噛み合っ
てないことです。
テーマ的には次の25話『学校の輝き』とセットに
なっているのか、「引きこもり」などや「いじめ」
等の問題を「親」側からどう扱うかという狙い、
そのために出てきたキャラのように見えます。テ
ーマ先行のキャラということです。
作品設定上、「親」になるのは(いずれ「星国」
を統べる者としての)コメットさんとメテオさん
です。だから、ミラとカロンを通じて、二人の
「親」としての「あり方」の違いを描く、これが
今回のドラマの骨格だと読めます。それはそれで
よいとして、そうなると問題なのはミラとカロン
の地球に来た目的です。ミラがコメットさんに言
ったように「王子様さがし」に来たのであれば、

何故いやな思いをしてまで学校に通う必要がある
のか。
「王子様さがし」に専念すればいいだけではない
のか。

ミラとカロンに助けてと言われても少しも同情で
きないのは当然です。しかも、彼らの目的がコメ
ットさんメテオさんの身辺調査でもあるらしい
カロンはパニッくん兄にはっきりと「メテオさ
んの担当になりました」と言ってるし、ミラの
「『暖かく包み込むような優しさ』を持つコメッ
ト様、『強引なまでに力強い優しさ』を持つメテ
オ様、どちらが殿下のお妃候補としてふさわしい
方なのでしょう」というセリフからもわかる)と
も読めるので(終盤でそれは確定しますが)、そ
うなると彼らは二人にウソをついていることにな
ります。

そう考えるとライダー状態のカロンはメテオさん
の気を引くような行動、試すような行動として納
得がいきますし、ミラの言ってることにも信用が
おけない、ウラがありそうだ、と思えます。

だからメテオさんがカロンを張り倒すところ(劇
中での張り倒す理由とはズレますが)も圧倒的に
正しく見えます。

整理しましょう。
ミラとカロンのキャラ設定上の「矛盾」、詰めの
甘さ。
これが二人に対する印象の悪さを生んでしまう。
つまりこの「印象の悪さ」は、劇中で語られるよ
うな「うじうじ」した部分からではなく、キャラ
設定上のミスから生まれていること。

さらに問題なのは前にも書いたおけや氏脚本のパ
ターンとして、根本的なミスが省みられることは
なく、「何だか感じ悪い」という「印象」がその
後のエピソードで定着、正当化されてしまうとい
うことです。

そこから、ミラとカロンが「輝き」をねだるだけ
であったり、プラネット王子のひねくれに繋がっ
たり、ひいてはタンバリン星国そのものの「うさ
ん臭さ」にまで繋がってしまうのです。
(2002/07/20記)