ニコ動の出現とアニメ感想サイトの終焉、蛇足

たくさんのリンク、そこからのご来場ありがとうございます。リンク先での反応はあまり見ていないのですが、mixi内ではちょっとあれからいろいろやりとりしました。以下、mixiでのある方とのやりとりでコメントしたものを一応転載しておきます。

>とぼふさんが言っている通り、手軽に1行程度、それも脊髄反射的な感想だけ言うのに、それをわざわざ他人に広める手間をかけるのは正直面倒くさい。自分の日記の中でだらーと書く程度で十分だろう。

蛇足になるかもしれないけど、僕なりにちょっと補足しときましょう。

「手軽に1行程度、それも脊髄反射的な感想だけ言う」だけなら、それはすでに「2ちゃんねる」があったわけです。でも、よく言われるように2ちゃんは身も蓋もないほど、玉石混淆で、本当にクソみたいな書き込みから優れた発言までいろいろ混ざっちゃってて、役に立つ優れた発言を探すのに苦労するんですよ。で、見ているうちに大半がネガティブな発言だったりするものだから気持ち悪くなって疲れちゃうんですね。

そんな状態だから、無法地帯的な掲示板とは別に、個別のサイトで少しはまともなこと書きましょうよ、って出来たのが(というか、もともとあったかも知れないが、次第に増えていったのが)いわゆる「アニメ感想サイト」で、それを「杉の木ア ンテナ?」が整理しまとめ、ある程度サイト同士の連帯感が生まれた段階で、例えば光希桃さんがアニメ感想率調査をやることで、ネット上の一つの「勢力」と言っていいほどの存在になった。だからこそ、いい意味でも悪い意味でも「2ちゃん」に「アニメ感想サイトについて語るスレ」なんかができるわけ。

そして「アニメ感想サイト」という「勢力」が揺らぐようになったのは、別に2ちゃんであれこれ言われたことではなくて、物理的にアニメの本数が膨大になりすぎて、もうさばききれなくなった事態になったからだと思う。とてもじゃないけど全部追っかけてらんない、しかも対象であるところのアニメも粗製乱造が始まり、まともに相手するのに疲れたというかバカバカしくなってきた。それが「アニメ感想サイト」というあり方に対しての第一の危機。

その後、「ブログ」が登場して、簡単に「サイト」を開設できるようになり、素人さんたちが大量に入ってきて、アフィリができるようになったり、ユーチューブの動画が貼れるようになったりして、「アニメ感想サイト」のまとまりがどんどんゆるくなっていく。さらにmixiができたことで(「アニメ感想サイト」に限らないけど)、疲れた人たちはみんなmixiに逃避する。

結局、「勢力」としての「アニメ感想サイト」は解体に向かい、何のことはない、そもそもの2ちゃんの書き込みみたいな玉石混淆状態に回帰していく(発言の場所が2ちゃんでなくとも、有り様が似てくる)。

そこでユーチューブを伏線として登場したのが「ニコニコ動画」で、動画そのものにコメントを書き込むことができる、という画期的なシステムが登場した。これはもうはっきりと「発明」と言っていい。アニメに限らずこれの登場でネット内の状況は大きく変わるはず。もちろん文章だけで成立するような文化(いい意味での「電車男」状態など)はなくなりはしないけど、ことアニメに関してはこれは大きな意味を持つ。

つまり、ここ最近引っかかっていたことがあるんだけど、若い奴に、過去にこんな素晴らしいアニメがあったんだよ、って力説するより、まずはそのアニメそのものを直接見せた方がいいんじゃないのか。見せた上で、やっぱりつまらん、という奴もいれば、こんなすごいのあったんですか、と食いつく奴もいるだろう。今のテレビはアニメの再放送なんかほとんどしてくれないし、レンタルを探すにしても店によって品揃えバラバラだし、俺らの子供の頃のような、テレビがアニメの再放送をいっぱい流してたような(実際、そのおかげで色んな知識を得たわけだし)状態を、ニコ動で再現できないか。さらにニコ動に来る人は別にアニメを観るために来ているわけではなくて、何か人がいっぱいいて、盛り上がってるみたいなのでとりあえず覗いてみた。そんな人がタグリンクを辿ってあるアニメに出会い、アニメファンになる可能性だってある。つまり、たまたまテレビのチャンネルをかえていたらやっていた、ちょっと見ていたら引っかかるものがあった、みたいな状況も作れるんじゃないか、さらに最近は動画の下にアフィリが付くようになり、DVDで利益を回収する今のアニメ事業のスタイルはもう限界なんじゃないかと思いつつも、現時点ではそう簡単に業界のシステムは変えられないわけで、ならば、少しでもそのアフィリからのDVD購入、ということがありえないかと、そしてそれは少なくとも個々のブログで宣伝するよりごそっと人が大量に入ってくるニコ動の方がもしかしたら貢献度としては大きいかもしれない。

ニコ動で、手軽に脊髄反射的な感想だけ書く快感以外に意味があるとしたらそういうことだろうと。そして、再び各アニメについて深く考察なりしていくのはその前提の上であろうと。