ニコ動の出現とアニメ感想サイトの終焉

りなもさんの感想サイトがとうとう終わったので、そのことをきっかけに俺がいろいろ考えてることを書いてみよう。ちょっと長くなるよ。それに厳密な批評ではないし、例によって一般論にはやっぱり出来ない極論妄想なので、それを前提とした上で読んでください。

まず、ひろゆきの新書で、Web2.0なんてマイナスイオンなどの擬似科学と一緒であり、Web2.0というネーミング自体が、Web2.0という言葉を初めて言った人が、商売人気質を持ってる人らしいので、結局、宣伝コピーレベルのものでしかなく、真面目に取り上げること自体、無駄である。

基本的に、Web2.0とか言われる前からインターネットはすでに完成されていたのであり、あとは自動車産業や家電業界がデザイン、ファッション性で新たな顧客を獲得するしかないことと同じ状態が、ネットでも起こっている。それが「ブログ」であり、最近の余計な機能を付けすぎな携帯事業にも言えるだろう。ブログというシステムが登場したとき、新たな変化が生まれかもしれないという、ブームにもなったが、結局はコメント欄でいわゆる「炎上」といういわば内ゲバが煩雑に起こることによって、みんな疲れ果て、たいがいの人はコメント機能をオフにした。

そこで、次に登場したのが、mixiに代表されるSNSであり、クローズドな会員制ブログであるために、それまでのブログに対して精神的に傷つくことなく、まったりと居心地よくいられるという意味でヒットした。だが「mixi疲れ」という言葉が示すように、一般的なブログと違い、マイミク=距離が近すぎる友達関係は意外に濃く、足跡のみ付けてコメントされないことに寂しさを感じ、また、誰も傷つくことない場所という理想的なクリーンなイメージが逆に、コメントを付ける際に馴れ合い的なコメントを考えなければならず、それはやがて苦痛になってくる。

そこでさらに登場したのが、「ついったー」に代表される簡易ブログであり、その正体はただの「ひとりごと、つぶやき」であるから、もっと楽に手軽に書けるようになった。ただ、それは携帯電話の機能の進化ともシンクロしていて、よく言われる「いま何線に乗ってるの〜」とか、どうでもいいことをメールで送る、やり取りするのと似ている。

閑話休題。タイトルに比して前置きが長くなりすぎているがもう少し我慢していただきたい。そもそもブログ疲れ、mixi疲れなどは、単純に言ってしまえば、その使用者がやめればいいだけの話であって、その「疲れ」を新たなツールが解消する、というのはおかしいのではないだろうか。ツールに人間が振り回されている感じがするからだ。

機動戦士Vガンダムに、「すさんだ心に、武器(=道具)は危険なんです」という名言があるのだが、まさにそんな危惧をどうしても抱いてしまう。

ここでようやく本題に入ろう。結論を先に言えば、ニコ動の登場によって、広く言えば、別に個人でブログを持たなくてもよくなったのではないのか。アニメに限って言えば(もちろんニコ動ですべてのアニメが観られるわけではないが、話題作は比較的アップされる)、前置きで書いたついったー的な短文コメントの流行と合わせて鑑みると、ニコ動のコメント入力はまさに見事にシンクロしている。おまけについったーと違い、つっこむための動画が目の前にあるわけだから、その面白さでいったら格段に違う。そしてこのことは何を意味するか。一言コメントだけするならば、わざわざめんどくさいブログを持つ必要がないということなのだ(友達が欲しい、他人と交流したい、という目的で始める人はいるだろうからブログはなくなることはない思うが)。

だから、アニメ感想サイトで長文でしっかりとした分析なり批評をやってるところは別として、ただ脊髄反射的な感想を書いてるサイトはこれから減っていくだろう。

これが今の段階での結論である。