第16話 『奮戦、アデット隊』(2003/01/11放送)

脚本/大河内一楼
コンテ・演出/笹木信作
作監中田栄治・橋本誠一

■ゲイナー・サンガの前回のあらすじ。
「シンシア・レーンとのデートができるなんて、それは感動ものだ。と思ったのは始めだけ。ゲーム仲間のやることはタチが悪かった。それが因果で、僕はとんでもない戦いに巻き込まれて、シベリアの大地の中に、マグマ溜りを見てしまったんだ。この地球は、なんてところだ」
■狭い川沿いを進む、「ヤーパンの天井」のユニット群。
■バッハクロンから、アデットがキングゲイナーに乗って出て行ってしまう。
止められないコナ。駆けつけたベロー。アデットの姿は出ないが、キングゲイナーの動きがなんとなくがさつな感じに作画してある。
■五賢人のペルファの診察を受けるゲイナー。
ペルファは過労だと言うが、側にいるサラからはアデット先生といっしょに暮らしてるからじゃないの? と突っ込まれる。
■そこへ、「アデット隊」の者たちがゲイナーを迎えにやってくる。
ガンガランの有志はガウリ隊のような自警団を設立、しかし戦いの経験がない。
やり場のない思いを抱えていた彼らは、アデットとやりあい、その素晴らしい戦いっぷりに感動し、アデットを隊長にしたのだと言う。
■さらに、ペルファの診察室の天井を動かし、キングゲイナーに乗ったアデットが現われ、ゲイナーをさらって行ってしまう。
エクソダス中の一台のシルエットマンモス。
幻の川に騙されて、崖にぶつかってしまう。
それはケジナンの乗るオーバーマン、メックスブルートのオーバースキルの仕業だった。幻を作り出すこのオーバースキルで、「ヤーパンの天井」を崖の下に落とす作戦らしい。
■ガチコのコックピットで、リンクスとともにくつろいでいるゲインのもとに、サラがアデットのことを知らせに来る。
ゲイン「ふーん、どうして俺を連れてかないんだ? 俺の方が、役に立つと思うがなあ」
サラ「拗ねてる場合じゃないでしょう!」
■シベ鉄の列車が、崖の中に消えて行く。
驚くゲイナー。アデットによると、崖は立体映像で、中にはシベ鉄の地下の秘密基地があるのだと言う。
ゲイナー「だから、なんなんです?」
アデット「我がアデット隊には武器がないんだよ」
ゲイナー「足らないものは他人から取っちゃうって発想、なんとかならないんですか?」
アデット「ふん、退職金をもらって何が悪いのさ」
そのまま基地の方へ行ってしまうアデット。アデット隊の者たちもついて行く。
ゲイナーも呆れながらしかたなくついて行く。
■基地内では、カシマル・バーレが列車の運転手に、時間通りに停車しなかったことを注意している。
列車からシンシア・レーンが降りてくる。どうやら捕らえたアスハムをリマン・メガロポリスに連行する途中らしい。シンシアにコケにされるカシマル。
■その捕らえられたアスハムのもとに、水の入ったコップを差し入れに来るジャボリ。
寝たふりをしていたアスハムはジャボリの体を押さえる。
1話のゲインとは違い、差し出されたコップは使わないところがスタッフの遊び。
ここから、アスハムは逃げ出すための芝居を始める。それに乗ってしまうジャボリ。
アスハム「君は…ジャボリ・マリエーラ」
ジャボリ「覚えていてくださったんですか? アスハム・ブーン様」
アスハム「シベリアの凍土に咲いた、可憐な野ばらを、どうして忘れられるだろう」
ジャボリ「まあ…」
■場面は変わってシルエットマシンのドーベッグがずらりと並ぶ格納庫。
ジャボリはあっさりとアスハムをゴレームに乗せてしまう。
アスハム「感謝いたしますよ、シベリアの野の花殿」
ジャボリ「そうおっしゃるあなた様は、ツンドラに咲く白百合の花」
アスハム「その心は」
ジャボリ「高貴の上の高貴」
アスハム「私が戻れた暁には、君を正式にセント・レーガンに迎えるとしよう」
ジャボリ「そのように、白百合様」
アスハム「また会おう、野ばらのひと」
■アスハムが去った後に、アデットたちがやってくる。
アデットに見つかったジャボリは、銃を向けるが、アデットに生身の人間を撃てないことを指摘され、「そんなことないわけは、ないでしょ」と、あっさり逃げて行く。
■カシマルにアデットが潜入したことを伝えるジャボリ。
その上、アスハムが脱出したという報告も入り、シンシアに責められるカシマル・バーレ。
■ドーベッグを盗んだアデット隊は、シベ鉄と戦闘になる。
これだけドーベッグを手に入れたのだからもう引きましょうというゲイナーに、
オーバーマンを手に入れるんだと聞かないアデット。
アデットを残して、ゲイナーとアデット隊の者たちは脱出する。
■「ヤーパンの天井」が進む先の崖をメックスブルートのオーバースキルで消し、ワナを張るケジナンとエンゲ。そこへモニターにカシマルの顔がドアップで映り、戻って来いと言う。このアップの入り方も遊びがあって面白い。
■崖が急に現われて、ユニットを急停止させるベロー。
去って行くメックスブルートの姿に気づく。
■一人でシベ鉄相手に戦うアデットの前に、ケジナンのメックスブルートが現われる。驚くケジナンだが、ジャボリの、アデットはもう敵だという言葉に押され、メックスブルート自身の幻を作ってアデットを翻弄する。
アイキャッチ
■女の情愛を利用して脱出というやり方が、ゲインと同じであることに屈辱を感じるアスハム。
とその時、ゴレームのまわりをフォトンマットリングが飛び回る。1カットでまわりをしつこくキョロキョロするアスハムの見せ方は、なかなか「おバカ」で面白く、あまり今のアニメではやらない表現。
■そのフォトンマットリングの正体は、シンシアのゴレームだった。
ドミネーターはお手入れ中とのこと。というより、本当はアニメーターに負担をかけるからか(笑
■以前負けたのは機体の性能差のため。相手が同じゴレームなら、私に一日の長があるはずと、シンシアに向かっていくアスハムだが、シンシアのゴレームの指一本で、アスハムのゴレームの右腕は粉々に砕けちる。
■無数のメックスブルートの分身に囲まれるアデット。
目の前に、ケジナンの幻さえ現われる。
アデットにもっと上品にならないのかと言われ、ケジナンの幻は貴族風だかなんだかわからないような格好に姿を変える。丁寧に後ろのメックスブルートの幻が拍手してるのが細かい。
■そして、助けてほしかったら俺の嫁さんになってくれ、とアデットに告白を始めるケジナン。アデットだけでなく、やりとりを聞いていたエンゲ、ジャボリも驚く。
ケジナン「ヤサッバ隊長がいるあいだ、僕、控えていたんだけれど…」
ジャボリ「自分の姿を鏡で見なさい」
エンゲ「姐さんの弱味につけ込むなんてずるい」
ケジナン「うるせーっ」
■ケジナンの幻は、バラの花束をアデットに向けて差し出す。
ケジナン「ツンドラの氷より厚く、永遠をもつき抜ける僕の情熱の炎は、姐さんの身も心も焼きつくし、僕も焼きつくされるでしょう」
バックで踊るメックスブルートの分身の大群がバカ過ぎる。
アデット「ああ、焼いてやるよ」
アデット、あっさりとケジナンの幻をドーベッグの主砲で撃つ。
ケジナンの幻は消えるが、すぐに顔にツギハギが書かれたケジナンの幻が再度現われる。
ケジナン「なにしやがる!」
アデット「残念だね、ケジナン。あたしはヒキガエルは、趣味じゃないんだよ!」
ケジナン「ヒキガエルだと〜!」
■外で待機するアデット隊とゲイナー。
「遅いなあ、隊長」
「いくら隊長でも、一人じゃなあ」
ゲイナー「オーバーマンも欲しいだなんて、欲張るからだ」
「俺、聞いちゃったんだ、アデットさんが我々の隊長を引き受けてくれた理由。先だっての戦争でさ、隊長の家族がケガしたんだって。で、包帯を巻いたり、お粥を作ったりしようとしたんだけど、てんで駄目だったらしくて」
「そういうの、苦手そうだもんな、隊長」
アデット隊全員「うんうん」
「自分に出来ることは戦うことぐらいだからって、それで…」
ゲイナー「なんだよ…」
「アデット隊が頑張れば、戦いの被害も減るもんな」
「そうかあ、家族思いなんだ、隊長って」
ゲイナー「なんだよ、それ!」
アデット隊全員「おかしいですか?」
■メックスブルートの攻撃に苦戦するアデット。
アデット「オーバーマンを手に入れるんだ、そうすれば、ゲイナーだけに戦わせるなんて、情けないこと、しないで済むんだ!」
■ゲイナー「ぶきっちょなんですよ! あなたって人はーっ!」
キングゲイナーで基地に突っ込むゲイナー。
■ドーベッグのコックピットから吹っ飛ばされるアデット。
ケジナン「いろいろ頑張りなすったが、ここまでですなあ、姐さん。ホント、好きだったんだけど、こうも可愛くねえとなあ」
アデットにとどめを刺そうという瞬間、天井が爆発する。
ケジナン「なん、でしょう!」
キングゲイナーが登場。
アデット「また、こんなところで!」
ゲイナー「幻? そういうオーバースキルなのか?」
アデット「どうして戻ってきたんだい。貴様は隊長の命令が聞けないのかい?」
ゲイナー「僕はアデット隊じゃありません」
アデット「だったら、先生の言うことを聞け。生徒だろう」
ゲイナー「僕が、隊長や先生だからって理由で、戻ってきたと思ってるんですか?あなたはぶきっちょで、がさつで、わがままで、本当にどうしようもない人だけど、でも、僕の家族なんでしょう?」
ゲイナー、コックピットを開き、アデットを入れる。
ゲイナー「そう思ってくれるなら、僕にとってもあなたは、家族なんです。で、しょ?」
■ケジナン「ちょ〜っと、まったあ〜っ、ヤーパンのオーバーマン!アデット・キスラーが貴様に似合うわけないじゃないかあ〜!」
メックスブルートの集中攻撃を受けるキングゲイナー
ゲイナー「く、くそう、どこまでが幻なんだ」
アデットがゲイナーに抱きつく。
アデット「ゲイナー、夕飯は家で食べるよ! あたしたちの家でね!」
ゲイナー「カリカリのお粥をお願いします!」
アデット「とびっきりのをな!」
キングゲイナー、オーバースキル発動、メックスブルートの幻をかたっぱしから斬っていく。
ケジナン「よせよせ、幻はいくらでも作れる。卑怯だろうとハッタリだろうと、中身がなかろうとなあ、勝ちゃあいいのよ、世の中は!」
しかし、キングゲイナーは幻を斬るのを止めない。
ケジナン「聞こえてんだろう? おい、アタマの悪い小僧だなあ。無駄だって…。バ、バカにつける薬はないかあ…?」
しだいに、キングゲイナーのスピードが、メックスブルートの幻を作るスピードを上回っていく。
アデット「まだまだ! 本当の敵を裸にしちまいな!」
ゲイナー「幻すべてを斬り消します!」
ケジナン「なんでそういうことを考えつくのさ!」
■とうとうメックスブルートのシステムがオーバーヒートを起こし、幻が消え、部屋のすみでいじけてるような姿の本体があらわになる。キングゲイナー、メックスブルートの本体を斬り刻み、バラバラにする。
■基地内の惨状を見て激怒するカシマル。
カシマル「一時間以内に直しなさい! でなければ、人間線路になってもらいます!」
ケジナン「いやああああああああああっ、そんなああ〜」
ジャボリ「ケジナンに仕掛けたカメラなんて見るんじゃなかった…アスハム様…ありゃ?」
■アスハムはシンシアにあっさり連れ戻されてくる。
シンシア「あ〜あ、間に合わなかった。髪の毛のあるオーバーマンとやりたかったのに。お前のせいだよ」
アスハム「それは済まないことをしたな。代わりにあれ以上のオーバーマンをプレゼントさせてくれないか」
シンシア「はあ? 何いってんの?」
アスハム「史上最強のオーバーマンを、キッズ・ムントは隠し持っていた」
シンシア「育ての親のキッズ・ムントよりセント・レーガンのあんたを信用しろっていうの?」
アスハム「信じたい方を信じればいい」
シンシア「いいわ。乗せられてあげる。けど嘘だったら、ヤーパンの海に沈めちゃうから」
■ヤーパンの天井。
アデット隊のドーベッグが、ユニットの壊れた部分の修理に邁進している。
それを教室から眺めるベローとサラ。
そのうしろで、ボンテージ姿のアデットにゲイナーが追っかけ回されている。
アデットはむりやりゲイナーにもボンテージ服を着せようとする。
■その二人を双眼鏡で眺めるゲイン。
ゲイン「いいよなあ、お揃いって」
■「ヤーパンの天井」のエクソダスは続くのであった。

リボルテックヤマグチ No.07 キングゲイナー

リボルテックヤマグチ No.07 キングゲイナー

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