第11話 『涙は盗めない』(2002/11/16放送)

脚本/大河内一楼
コンテ・演出/笹木信作
作監/樋口靖子・田中雄一

■ゲイナー・サンガの前回のあらすじ。
「部品を買い付けに行った村で、ゲインはアスハムに捕われてしまった。
ロンドン送りになるところを、僕とガウリは阻止することが出来たのだけれど、
買い付けの成果はなかった。けど、僕はサラとずうっといっしょだったので、
その幸せに酔いしれていた…らしい」
「らしい」って…それから「ヤーパン忍法」のことはゲイナー的にはどうでもいいのか。
■「ヤーパンの天井」ユニットのゲイナーの部屋。
ロフトらしいところには全裸のアデットが毛布一枚で寝ていて、
ゲイナーが声をかけるも起きようとしない。部屋に開いた穴はまだ直っておらず、
ゲイナーはシートを張り直していたりする。
ネットゲーム用のヘッドマウント・ディスプレイからは
ドームポリス・ポリチェフのTV放送が流れている。
それはポリチェフに接近した「ヤーパンの天井」で通信が復活したことを意味している。
■別の場所でその放送を観る、コナたち整備の人間と、ガウリ隊長やサラ、ベロー。
TVに映る自分の姿に、謙遜するも「かっこいい…」と内心嬉しいサラ。
■さらにその放送を自分の部屋で観るアナ姫。そこで自分の故郷、
ウルグスクのメダイユ公爵家が「おとりつぶし」になることを知る。
(さりげなくノートPC(?)の横にマンモが)
■またさらにこの放送を定食屋(?)で観ていたゲインは、
「ヤーパンの天井」の「エクソダス」は必ず成功させる、と食っていた魚丼(?)に
箸を突き刺して決意を表す。
■ポリチェフでも「エクソダス」しようとする人々がいる。
しかし、オーバーマン、ジンバが飛んで来て、それを抑える。
パイロットはアスハム・ブーン。ジンバのオーバースキル、「盗み」を使い、
ユニット牽引のワイヤーを盗んだり、調子に乗ってガスタンクのような(?)巨大なものまで
盗む。だんだんバカキャラになっていくアスハム。
ロンドン・イマの(?)市民憲章第9条=エクソダス法らしい。
■そのアスハムとともに、ザッキは、シべ鉄が強奪した品を勝手に売買した容疑で、
ポリチェフのピルウィッツ公爵家の検閲に来たらしい。
■ゲイナーの部屋。通信が復活したからなのか、久々のオーバーマン・バトルゲームに興じるゲイナー。
ゲーム仲間からはやはり「キング」と崇められているようだ。そしてシンシア・レーンからも
通信が。このあたりの作画は明らかに1話のバンク(使いまわし)。
キングゲイナーなどが格納してあるバッハクロンのカーゴ。
そこでリュボフはママドゥ先生のテストの採点の手伝いをしている。
アナ姫はメダイユ家「おとりつぶし」のニュースをリュボフに伝えに来るが、
リュボフは聞いてくれない。
■そのカーゴ内から、ベローとサラはポリチェフからの行商人たちのバザーに
出かけようとしている。アナ姫もそれについて行く。
サラといっしょのベロー、アナ姫に「幸せでしょ」とつっこまれて照れる。
■ゲインとナン、トゥンは一足先にバザーに行っていて、ゲインは毛長鹿の冷凍肉を値切ったりしてる。
そこにアナ姫、サラ、ベローが合流。T V放送で有名になったサラは「女隊長」と呼ばれ、
サインをねだられたりしている。アナ姫は一人その場を離れる。
アナ「このシルエットマシンに隠れていればポリチェフに行ける。そこからシベリア鉄道に乗れば…
ウルグスクに帰れるんだ」
■その瞬間、行商人たちの店のあちこちで品物が盗まれ、騒ぎになる。
それはオーバーマン、ジンバのしわざだった。
■リュボフがバイクに乗ってアナ姫を迎えに来るが、その近くにドゴッゾの砲撃が着弾。
そのドゴッゾにはケジナンが乗っていて、ジンバのアスハムに遅いと叱られる。
キングゲイナーもやって来る。
キングゲイナーVSジンバ。
キングゲイナーはまずジンバにチェンガンの弾を盗まれ、あげく、
右腕のマッスルエンジン(筋肉)まで盗まれてしまう。
ゲイナー「そんな…そんなものまで…盗めるのか!?」
アイキャッチ
■白状するピルウィッツ公。それは証拠として録画されている。
ピルウィッツ公「シベリア鉄道が持ち込む品物、たしかに、
ポリチェフで売りさばきました。品物の出所については、定かではありませんが、
定期のルートを通ったものでは、ありません。扱った品物のなかには、生ものも、ありました…」
ザッキ「シベリア鉄道の検挙の証拠は、意外に早く揃いそうだな」
キングゲイナーとジンバの戦闘は続いている。
サラのパンサーが加勢に出る。このサラがパンサーに乗り込むところも1話のバンク。
しかし、パンサーの銃をジンバに盗まれ、逆に攻撃される。
■ゲイナーがフォトンマットリングをシールドにしてサラを助ける。
そしてキングゲイナーもオーバースキルを発動させて、高速移動でジンバに迫る。
しかし、ゲイナーはジンバの姿を見失ってしまう。
■ジンバはユニットの翼のような(?)部分の下に隠れている。
アスハム「さらに速くなっているのか…ヤーパンのオーバーマン…」
と、アスハムはポリチェフ行商人のシルエットマシンに乗ってるアナ姫と、
それを追いかけるリュボフを見つける。
■ジンバに狙われるアナ姫とリュボフ。
リュボフはアナ姫をバイクに乗せ、速度を上げてジンバを振り切ろうとする。
このバイクシーンの作画は圧巻!
■二人を乗せたバイクは納屋のようなところに突っ込む。
アナ「…た、助かったの?」
リュボフ「その、ようですわ…姫様」
アナ「…は?」
リュボフ「先ほどは申し訳ありません。姫様がウルグスクのことで
何かお気にかけてらしたのに、リュボフはママドゥ様のお仕事を手伝うのに心奪われていて、
姫様のお心を、少しもはかろうとしていませんでした。姫様、お話ください。
いったい、何があったのです?」
アナ「…リュボフ…」
■しかし、二人はジンバに盗まれる。
アナ姫とリュボフを盾にされては、ゲイナーはどうすることもできない。
リュボフ「いやー、助けて、ゲイン様ああ〜ママドゥ先生〜」
アナ「落ち着いて、ゲイナーが助けてくれます」
ゲイナーにガウリから通信。
ガウリ「ゲイナー君、撃て、撃つんだ!」
ゲイナー「ええっ!? アナとリュボフさんがいるんですよ!」
ガウリ「『エクソダス』に犠牲はつきものなんだ!」
ゲイナー「そんな…アナ姫様…」
アナ「何をぼっとしているんです、キングゲイナー! しっかりと戦いなさい!」
ゲイナー「覚悟なさってると…おっしゃるのか」
■そしてアナ姫はアスハムに向かって、
アナ「このオーバーマンのパイロット!」
アスハムは不意を食らうのと、アナ姫の気迫に押され、
アスハム「な、なに、私にか!?」
アナ姫の演説。
アナ「こうやってわたくしを捕らえることが、あなたの目的なのでありましょうか?
いいえ、そんなことでわざわざオーバーマンをここに寄越しはしないはずです。
キングゲイナーを倒し、ヤーパンの民の『エクソダス』を止めるつもりで
ここに来ているのでしょう? それが卑怯にも、女二人を盗み取り、
その身を盾にすることで、何が叶うとお思いですか! 
あなたもオーバーマンに乗るほどの武士(もののふ)なら、恥を知りなさい!! 
こんな卑屈な行為で、ピープルの心が変えられるものではありません!」
呆気に取られるリュボフ、そして当のアスハム。
■アスハム「成る程…田舎領主の娘といえ、さすが一国の姫君。立派な心がけだ。
しかし! その御心を宿すお体、いまオーバーマンを通して、私の指の谷間にあるのですよ」
アスハムはジンバの手でリュボフとアナ姫を締め付ける。
■ゲインのガチコがジンバに向かっていく。
ゲイナー「ガチコ? ゲイン! 何をするつもりだ! ガチコじゃ何のやりようもないだろ!」
アスハム「女たらしがのこのこと、出てきてくれたか! ゲインめ! 
我がかわいい妹のカリンのために、お前を盗み出してやる!」
■ガチコに向かうジンバ。ガチコのコックピットのゲインを盗み取る。
アスハム「ははっ、取ったぞ、
最初からこうやって、人間を盗めばよかったのだ! 私は!」
しかし、開いたジンバの手の中には、爆弾を巻き付けたマネキン。
アスハム「あーっ、人形っ、マネキンだと!?」
■マネキンが爆発。ジンバは右腕を失う。
すかさず、キングゲイナーがジンバの左腕も切断。
リュボフとアナ姫をつかんでいたジンバの左腕はふっとび、サラのパンサーがそれを確保。
■両腕を失ったジンバはケジナンのドゴッゾと合流。
ケジナンの皮肉。
ケジナン「おや、パンサーの足止めしている間に、すっかりいい様になってますな。
どうするんです?」
アスハム「撤退する!」
■ゲインがガチコのコックピットに戻る。
ゲイン「よく俺の作戦がわかったな、ゲイナー」
ゲイナー「いい加減あんたのやり方には慣れましたよ」
■ゲイナー「危ないじゃないか、アナ」
珍しく、ゲイナーがアナ姫を叱る。
アナ「え?」
ゲイナー「戦場に近づいちゃ駄目だって」
アナ「一人で逃げたりしませんでした」
ゲイナー「アナ、いったい何があったんだ?」
アナ「ゲイナー、あなたの部屋の電話を貸してちょうだい!」
ゲイナー「え? 電話ならアナの部屋にもあるだろう?」
アナ「長距離のが、必要なの!」
■ポリチェフの行商人たちが「ヤーパンの天井」から帰って行く。
■ゲイナーの部屋。ポリチェフから離れることでもうすぐ通信が駄目になる。
アナ姫、ウルグスクとの通信を開く。
父親であるメダイユ公と対面する。
アナ「お父様、『おとりつぶし』って、本当なのでしょうか?」
驚くメダイユ。
アナ「ロンドンはなんて言ってるのでしょうか? 今、私達、ポリチェフの近くなの。
鉄道を使えば明後日には戻れるわ。私、お父様のそばに」
メダイユ「切れっ。『エクソダス』をするような、親不孝な娘と話せるか。勘当だ」
家臣たちが引き止めようとするものの、メダイユ、アナ姫に背を向ける。
通信が切れる。
ゲイナー「…ほんとに、切った、アナ…」
アナ姫泣き出す。
アナ「うわあああああん…」
■ウルグスク。
家臣「これで、よろしかったのですか…」
メダイユ「メダイユ家が、『おとりつぶし』にあったとしても、
アナが生きておれば、メダイユの血は絶えない…」
家臣「それで、あんなお言葉を…」
メダイユ「生きろよ! アナ! お前が、メダイユ家を継ぐのだ」
家臣たち「メダイユ公閣下…」「お供します、閣下!」「付いて行きますぞ! 閣下!」
「メダイユ公爵家、ばんざーい!」
メダイユ「うおおおおおお〜っ、アナあああああ〜」
メダイユ号泣。頬だけでなく、鼻の頭まで赤いのが印象的。
■ゲイナー「駄目だ、回線を完全に閉じてる…まったく、なんて親だ」
アナ「お父様、ありがとう」
ゲイナー「え?」
アナ「ありがとう、お父様。あたし、メダイユの娘として立派にやります…」
アナ姫、通信機の画面に抱きついて泣き続ける。
ゲイナー「ありがとう…って、アナ?」
ゲイナーにはこの親子のやりとりの意味がわかってない。
■アデット「…ったく、うるさいったらありゃしない…」
結局、今回は冒頭からずっと寝ていたアデット先生なのでした。