日本ふるさと沈没
例によってアマゾンを彷徨っていて面白そうなので目にとめた。
自分はまだ読んでいないので、あるレビューをそのまま引用。
リメイク『日本沈没』公開に先駆けたメディアミックス企画のパロディアンソロジー。
タイトルにも有るとおり、収録作家の生まれ故郷のみ沈没するというバカバカしいお題のテーマアンソロジーである。 吾妻ひでお/あさりよしとお/唐沢なをき/とり・みき/いしいひさいちが一堂に会する機会は個人的には捨て置けないのであった。
特にいしいひさいち 御大の作品は、抱腹絶倒。沈没という事象ではなく、沈没を前提とした岡山県民移民計画について、例によってディープでトリビアルな知識を駆使してしょーもないブラックユーモアを紡いでいるのだ。
しかもこの手法は、正しく1973年公開『日本沈没』のテーマ性を汲み取ったパスティーシュになっているわけだ。戦後日本のアイデンティティ問題について、国土を失うという形で完膚なきまでに破壊された状態で、島国日本が国際化を余儀なくされる苦渋が、オリジナル映画クライマックスで描かれる文芸的見せ場であり、重厚なテーマあったわけだ。
このシーンでの一縷の希望は、丹波哲郎首相のポジティブな発言であるが、現実は、日本の首領、島田正吾の憂鬱通りなのである。「近代国際社会において雛鳥にも等しい日本人が、異文化の中で生き残っていけるのであろうか?」という概意のセリフこそが、『日本沈没』のテーマであった。それについての辛辣な回答が、いしいひさいちの作品なのである。
あれから三十数年、日本人のアイデンティティは更に迷走を続けている。逆にだからこそ、国際社会でゴキブリのごとく生き残っていけるのではなかろうかとも最近思い始めたので、この可笑しさがまた一塩なのであった。
そういえば、丹波哲郎って亡くなったんですな。
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