『ONE PIECE ―オマツリ男爵と秘密の島―』細田守インタビュー(2)

http://www.style.fm/as/13_special/mini_050816.shtml

細田 本当。本当にそうなんだよね。僕がジブリに行って『ハウル』を作ってる時に、その当時ジブリは『千と千尋(の神隠し)』で大変だったわけですよ。だから、『ハウル』の準備のためにジブリが割けるスタッフがいなかったの。いなかったんで、自分で集めなきゃいけなかった。作画にしろ、美術にしろね。自分が監督として、スタッフを集めていかざるをえなかったわけ。「お願いします」と言って、やってもらってたんです。僕はプロデューサーではないから、「気持ち」だけでお願いしてるわけですよね。「あなたが必要なんです」と言ってお願いしているんです。「『ハウル』は総力戦だ!」と思ってるわけだからさ、「この人がいなきゃダメだ!」と思うような人に、1人1人、お願いしてきてもらっていたんです。ところが諸事情で、プロジェクト自体がドカーンとなったわけじゃない。監督って、プロジェクトが崩壊した時に、スタッフに何かを保証できる立場にないんですよね。それが崩壊した時に、その人達に対して申し訳ないというかさ。「絶対にいいものを作ります!」と言ってたのに、公約を果たせなかった。ある意味、嘘をついちゃったわけです。裏切ったわけです。もう、誰も自分を信用してくれないだろう。映画って1人じゃ作れないからさ、本当に「もう俺は終わりだ!」と思ったんだよ(笑)。これはマジな話ね。これからは大きな事を言わずに、業界の隅っこで細々とビジネスライクにやっていこうと思ったわけですよ(苦笑)。そう思っていたら、『(おジャ魔女)どれみ(ドッカ〜ン!)』の40話で、関(弘美)さんと五十嵐(卓哉)さんがチャンスを与えてくれて。その上こんな俺に、「細田さんが何か作品を作るんだったら、やりたい」と言ってくれた人が奇特にもいたわけ。それが、すしおさんであり、久保田(誓)君なのよ!

長いけど面白いので引用。やっぱり『ハウル』問題が関係してたのね。

ウチら受け手が上手いスタッフがあの作品に参加する、監督するなんて聞いた時に、必ずいつものように優れた出来になると思うじゃない。でもそのスタッフだって人間じゃない。調子悪い時だってあるじゃない。だからいろいろあるってことですよ。