プラネテス 12話「ささやかなる願いを」(公式・NHK)

脚本/大河内一楼、コンテ/須永司、演出/吉村章、作監/中谷誠一
あらすじ
「宇宙防衛戦線」というテロ組織の存在を、フィーのタバコ災難を通して描く話。原作の方も、笑いあり燃える展開ありで、細かい描写の違いはあれど、アニメ版のイメージにもっとも近いエピソードと言えるかもしれませんね。原作既読であれば予想はできるんですが、前回のラストと予告でかなり重たく引っぱっておきながら、今回の話への繋ぎは、原作知らない人にはかなり意表を突くんじゃないでしょうか。シリーズ構成の上手さだと思います。大河内一楼氏一人で全話脚本書くからこそできることなのかもしれません。
そんなわけで、アニメ本編。今回はフィーが主人公なので、他のメンバーはほとんど恋愛ドラマの方に回されてます。ステーション(ISPV−7)内で、とりあえずチェンシンと会って食事するだけと考えてるタナベはブティックで服選び。一方ハチマキはタナベが休みなのが気になり、デートじゃないの?と言われてますます引っ掛かる。そこへリュシーがやって来てハチマキを誘う。茶店で話をするハチとリュシー。リュシーはハチにタナベとつき合えと言う。そして服選びに迷ったタナベが同じ茶店に入り、ハチマキとリュシーの会話を聞き、ハチとリュシーがつき合う話として誤解してしまう。もうベタ。ベタベタです(笑)。結局タナベは意地になってチェンシンとデート。そして後日チェンシンを映画か何かに誘おうとしたリュシーはそのときの写真を見せられ、タナベに反撃されたことを知る。さらにデブリ課ではハチとタナベが気まずい雰囲気。
さて本筋のフィー。ユーリとラビィとともに、トイボックスのメンテに月面に来ていたフィーは一服しようとするたびに「宇宙防衛戦線」の爆破テロでタバコが買えなかったり、テロ対策のため喫煙室が撤去されたり、あげく、別の坑道都市まで出かけたものの、そこでもテロに合いかけ、なかなかタバコが吸えず、ストレスのボルテージ(?)が上がりまくり、ステーションに戻って来たフィーはこれで存分にタバコが吸えるとデブリ課に突進。このフィーのテンションと、ついにケンカを始めるタナベとハチマキのテンションが同調し今回の話全体のテンションを上げていく演出は上手い。だがタナベとハチのケンカの最中に、フィーがいつもデブリ課で使ってるスモーカーズシートが壊れてしまう。フィーは落胆し腑抜けた状態になるが、ストレスは限界に達しているので「嵐の前の静けさ」状態。
で、クライマックス。その後いつものようにデブリ回収の仕事に出かけるハチマキたちだが、「宇宙防衛戦線」が犯行声明放送(放送を聞く各地の群衆の中に、7話のノノや、4話の偉いさんのボンボンの息子、5話の自殺を考えていた夫婦(農場で作業してる)、月面で作業してるのは忍者回の連中?など、さりげなく再登場)のあと、元通信衛星デブリをステーションにぶつけ、デブリを大量発生させようとする事態に出くわす(レーザー衛星等の配備は他の建造中のステーションに回してしまったため、ISPV−7は防御が手薄になっている)。『キレちゃうぞー!』フィー・カーマイケルついに爆発!(笑)。トイボックス爆走!(ただこの過程でハチマキがタナベに、リュシーとの会話の誤解を解こうとする描写が入るんだけど、フィーと、ハチとタナベ両方の問題を解消させようとする意図はわかるが、フィー側の描写の勢いを削ぐので、ハチとタナベ問題は後回しにしても良かった気がする)「宇宙防衛戦線」が放った通信衛星と激突!『はっはーっジャストミート!』フィー姐さん最高!(笑)。かくして危機は回避され、通信衛星とトイボックスはともに大気圏突入。トイボックスはおしゃかになったものの、脱出機構でフィーは助かり海に着水、地球上で存分にタバコが吸えるのでした。『生きてるって、素晴らしいね』
年明けの次回は、トイボックスが駄目になり仕事になりませんから、必然的にデブリ課は休暇状態となり、ハチマキとタナベ、ユーリも地上に降りてくる話ですね。

  • 12/27、1/3は放送休止。1/10より再開。