プラネテス 11話「バウンダリー・ライン」(公式・NHK)

脚本/大河内一楼、コンテ・演出/大橋誉志光、作監/坂本修司・工藤昌史
あらすじ
南米のエルタニカの技術者が、テクノーラ社に宇宙服の売り込みにやって来る。だがその「宇宙服」とはほとんどロボットあるいはそれこそモビル「スーツ」(とはいっても「ガンダム」で言えば「プチモビルスーツ」レベル)とも言うべきもので、しかもまだ完成したばかりで国際規格に合うかどうかもわからないため、デブリ課がそのテストをやらされることとなり、悪戦苦闘する話。まあ、スタッフ的には「宇宙もの」アニメなら一度くらいはロボット出しとかないと、って発想なのかな? とかあらかじめニュータイプのあらすじ読んで思ってたら、そんな穏やかな話ではなく、基本的にはクレアの話でした。
同じエルタニカの出身ということで、(もともと採用されることのない)宇宙服の運用テストを押し付けられるクレア。その宇宙服を見たハチマキが興味を持ち、運用テストをしたいと言い出す。デブリ課の面々、とくにフィーが、宇宙服内でタバコが吸えるということからこのテスト話に賛同、デブリ課でテストが行われることになる。一方、恋愛面ではチェンシンがついにタナベを食事に誘う。何も知らないタナベはリュシーに相談し、チェンシンに気があるリュシーは、恋愛光線云々の話でチェンシンからタナベの気をハチマキに向けようとする。さらに宇宙服の(宇宙空間での)テストの日が、チェンシンがタナベを誘ったデートの日と重なり(タナベは結局チェンシンの誘いを断るのだが)、その日を決めたのがハチマキだということで、チェンシンはハチが自分からタナベを引き離すためにしたことだと(おそらく)誤解する(のだろう)。チェンシンがハチに言った、「あとから返せって言われても返せないぞ」のセリフも明らかな伏線でしょう。さらにさらに、テストの過程で、接近するクレアとハチマキの関係が気になるタナベ。ってなわけで、絡みあって参りました。
で、肝心のクレアについては、技術者との食事シーンで、技術者の食べ方が不作法だったり、どの部署でも宇宙服の運用テストが断られるシーンなどで、彼女自身がエルタニカ出身であることを恥じていることがわかるものの、技術で国を救おうとする技術者(ちょっと「プロジェクトX」入ってる)に心を動かされていく。結局、宇宙服の運用テストは国際規格にパスするが、エルタニカ国内の内紛の影響で技術者は軌道保安庁に保護されることになる。ここでさりげなくハチマキとハキムの対立伏線が開始。そしてラスト、技術者が宇宙から故郷の地を見つけるが、地上では彼の工場は紛争で爆破される対比が見事。『どうしてなんでしょう! ここからは国境線なんて見えないのに、ただ、地球があるだけなのに…』は名台詞。そして、その不穏な空気を伴ったまま次回予告がテロの話と、繋がりも見事でした。
オリジナル回のレベル、上がってきたなあ。忍者回のヘタレ加減が嘘のようだ(笑)。よしよし。あと今回からOPがちょっと変更。ユーリのコンパスのカットは死んだ妻が刻んだ文字が見えるアングルになり、ハッブル宇宙望遠鏡の代わりにハチマキの母親と弟の画が追加。

プラネテス 4
プラネテス 4幸村誠 谷口悟朗 田中一成

おすすめ平均
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