プラネテス 8話「拠るべき場所」(公式・NHK)

脚本/大河内一楼、コンテ・演出/山本恵、作監/米山浩平・池田有、
総作監/中谷誠一
あらすじ
オリジナル脚本として久々に面白かったですね。作劇的には、ささいな勘違いが噂として広まり、大事になる過程で勘違いされた当人の気持ちがはっきりするという、これはこれでよくあるパターンですが、今まで張ってきた複数の伏線をそのまま継続する形で詰め込んでいるので、結構密度濃いです。
まずフィーと事業部長(ドルフ)が会うところをデブリ課のラビィが目撃、二人が不倫してると話が発展。これがキャラの恋愛関係の側面を刺激し、前回のハチとノノの関係をまだ疑っているタナベがハチに対してキレて、フィーの不倫を否定し、本人に確かめようとする。そこで突っ走るタナベとそれを押さえようとするハチが管制課のクレアとはち合い、ここでハチとクレアとタナベの三角関係を作り(直後のハチとチェンシンのシーンでそれを説明してる)、「愛」にこだわるタナベと、現実主義(?)のクレアを対立させ、伏線を張り続ける。
次に第2段階。不倫説は否定されるが、今度はフィーは事業部長に管制課への異動を誘われているという話がデブリ課の連中に伝わる(しかもまたラビィが広めてるし)。それは真実ではあるのだが、フィーの口からはっきりとした説明がなかったため、また誤解を生む。フィーの出世を、ハチのマイ宇宙船の夢の伏線とさりげなく絡ませて、フィーが何も説明しなかったのは、自分がいなくなったとき、残りの連中だけでデブリ回収できるのか悩んでいたため、とハチに思い込ませ、フィーなしでも仕事ができることを見せ、快くフィーを送りだしてやろうと考えるハチ。一方、連合からの天下りの世話をさせられている事業部長は、かつてフィーらとともにベンチャー会社を作ったが、夢破れてテクノーラに吸収合併されたという過去がある。(おそらくテクノーラ社生え抜きの)部下から嫌みを言われつつ、自分では愚痴をいわない事業部長にフィーの気持ちは揺れる。そんな中、フィー抜きでのハチたちのデブリ回収が開始。相手はステルス機能を持ち、高温で液状化する特殊なデブリという厄介なものの上、ToyBoxに同乗する課長とラビィは素人同然で当然のごとく回収に失敗しそうになるが、フィーが管制室から指示を出し、無事デブリ回収は成功する。
そしてラストは、組織の政治的駆け引きなど、いわゆる「汚いこと」を受け入れ、変わっていくことにこだわる(自分に言い聞かせようとしているようにも見える)事業部長と、あくまで現場にこだわり、昔と変わってないというフィーの二人の構図で終わる。このへんはほとんど『踊る大捜査線』の室井と青島の関係みたいなんですが、ラストカットでフィーが事業部長に「You copy?」と問いかけるものの、事業部長の反応を見せずに終わるのは秀逸だったと思います。


個々のシーンではラビィをふっとばすフィーの蹴りと、派遣社員エーデルの派手な私服が印象に残りました(笑



・某所で拾った地球外少女の壁紙。すぐ消えるかもしれんが。
http://sylphys.ddo.jp/upld2nd/manani/img-box/img20031122191437.jpg

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プラネテス 3幸村誠 谷口悟朗 田中一成

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