プラネテス 7話「地球外少女」(公式・NHK)

脚本/大河内一楼、コンテ・演出/大橋誉志光、作監中田栄治千羽由利子
作監協力/工藤昌史、原画に吉田健一
あらすじ
原作では『プラネテス』を代表する名エピソードであるだけに、アニメでどうなるか不安だったんですが、さすがに脚本、作画、演出すべて力入ってました。合格点だと思います。それでも難をあえて言えば、ハチマキが足をケガしたのがアニメでは前回の「忍者ごっこ」によるもので、そこからハチが、宇宙で人間が生きていくことの難しさを感じるようになる、という流れに無理があることでしょう。原作ではひたすらデブリ回収の仕事に追われる中、いつのまにか宇宙に対して「憧れ」を感じなくなったハチが、ふとしたことで仕事中にケガをしてしまうという「動機付け」がはっきりしているので、そのあとの流れにも違和感がありません。この点だけを除けば、今回のアニメ版の脚本の出来はOKだと思います。
そして恐れていたタナベの扱いもOK。原作ではまだタナベは登場していないのです。もし、タナベをずっとハチマキにくっつけておいたら、ベテランの宇宙飛行士のローランドや、月生まれのノノに対して、「愛」という名のもと、何をしでかすかわかりませんから(笑)、ハチマキと距離を置かせて正解です。しかも、その距離の置き方をハチとノノとの三角関係で描くあたり、いかにもアニメ版らしい実にベタなやり方で良いです。さらに、原作3巻まで読んだ人なら、これが伏線にもなってるのがわかるでしょう(すでにタナベがハチを意識してるとか、ちょっと唐突な感じもしないでもないですが)。
ローランドの自殺までの過程は原作より丁寧でしたね。いや、むしろあれは演出の力かもしれませんが。最後の海のシーンに持っていくまでの流れも上手かった。ノノの声のこおろぎさとみも、見た目は大人なのに実は12才というギャップを、幼女声で表現したと考えれば、そんなに悪くはないんじゃないでしょうか。
とにかく、ここんとこ低調だったので久々に良かったです。満足しました。
(とは言っても今回は原作の力なんですけどね…)