第10話『はじめての好き』

■「好き」という「気持ち」について考える


その前に前回の9話予告。
コメットさんが、
「はじめて男の子に『好き』って言われちゃった」
というセリフと、イマシュンとコメットさんが対
面するシーンがあるので、イマシュンが好きと言
うのかと思いきや(近いシチュエーションにはな
りますが)、パニッくんの兄、羽仁神也だった
というオチ(オチじゃない(笑))。
予告でのミスリードがそろそろ始まっています。

さて、今回の10話、
細かいところではまず冒頭のポッタンビト。
本放送は6月なので梅雨の時期にあわせたのでし
ょうか。季節感を大事にするのもこの作品の魅力。
ちなみに同じくおけや脚本の『ぶぶチャチャ』で
は「雨粒くん」というのが登場します。

次に、コメットさんたちを監視する「ヘの6号」、
パニッくん。
「そもそもカスタネット星国ってなんですか?」
と、リアリズム視点でつっこんでパニックにな
る描写が実に面白いです。パニッくんも「輝き
世界」の外側の人間と言えますから、メテオさ
んはこの子に「諜報部員」をやらせたのでしょう。
(メテオさんと同じ側ということです)
深読みすれば、おけや氏が『子供のその気になっ
ちゃう部分というのは、利用していることは利用
している』と語るように、たんに星力に操られて、
というのではなく、子供の「ゴッコ遊び」に本
気になってしまうところと、一方で(矛盾するの
ですが)妙に理屈っぽかったりするところがう
まく(さりげなく)表現されています。

で、本題ですが、今回は「好き」という「感情」
そのものについて「考える」話と言えそうです。

これはおけや脚本のパターンだと思うのですが、
一つのテーマを描くときに、まずコメットさん
自身からではなく、脇のキャラで描写してか
ら、最後に同じことをコメットさんに体験さ
せる、という構成が多いような気がします。
たとえば、後の「恋力」の発動エピソードなどが
そうです。

今回も、最初に、メテオさん萌えの羽仁神也君の
ストーカー行為から始まり、後半で似たようなパ
ターンをイマシュンがコメットさんに対して行い
ます。
その後、ケースケが追っかけてきて、よくある三
角関係的なシーンになりますが、個人的には今回
のキモはコメットさんが羽仁神也君にインタビュ
ーしたあと、「好き」について思いめぐらすくだ
り。夜の雲海の上での、ラバボーとの次の会話の
シーンです。

(気持ちがもやもやして、思わず星力を集めるコ
メットさん)

「…力をもらっても」
「…ん?」
「どう使ったらいいのか、わからないな」
「姫様、お悩みモード?」
「…ちょこっとね」
「きっと姫様ももうポッタンビト見て
喜んでる場合じゃないってことだぼ」
「…そうなのかなあ」


姫様は今回、3〜4歳のドラマと12〜3歳のドラマ
の中間にいる、という感じです。
(2002/05/04記)

第12話 『巨大列石の攻防』(2002/11/30放送)

脚本/高山治郎
コンテ/斧谷稔
演出/森邦宏
作監/しんぼたくろう・高瀬健一

■OPの前に2分間ダイジェスト。
1話ダイジェスト+主要キャラ等紹介。
アデット→ゲイナー→ゲイン→キングゲイナー→サラ→ベロー→ママドゥ先生→
ヤッサバ→アスハム→キッズ・ムント→ミイヤの順。
■ゲイナー・サンガの前回のあらすじ。
「ドームポリス・ポリチェフの商人たちのバーゲンバザーの商売に紛れて、
アスハムが盗みを仕掛けてきた。しかも、オーバーマンのオーバースキルで。
しかし、世の中には盗めないものもあることを、アナ姫様が教えてくださった。
それは、心に深く残る事件だった」
■ヤーパンの天井。
バッハクロンのブリッジで五賢人のガッハが双眼鏡で前方に何かを発見する。
ガッハ「ヌ?…う〜ん」
アナ「何がヌヌヌだ?」
■ユニット内、ゲイナーたちの学校の教室。
サラが教壇に立ち、ヤーパンに着いた後の話をしている。
黒板には地図が貼られていて、それは左にウルグスク、右上にヤーパン(日本列島)の
位置関係で描かれている。地図とサラの話によると「エクソダス」はもう半分まで
来ているらしい。ヤーパンでは農業をやるんだというサラと、ドームの人間に農業なんて
できやしないというゲイナーとの対立。ここで教壇の上に座るサラの足がやたら艶かしい。
下から上にナメるカメラワークは1話にもあったし、だぶんこれはゲイナーの視点という、
富野コンテの指示によるものだろう。
サラ「あなたってほんと、何も考えてないのね」
■ガッハが見つけた、伝説の初代ミイヤの「街」に向かうゲイナーたち。
そこには巨石の列が並ぶ。中央には大きな裂け目がある。岩の一部には花(雪割り草)が咲いている。
■五賢人たちもそこが初代ミイヤの街なのかどうか疑問に思う。
■ゲインのガチコ、サラ、ベロー、ガウリ隊長のパンサーもキングゲイナーに追いつく。
■初代ミイヤが最初に「エクソダス」したときにピープルに伝えようとして
作った「理想の街」がミイヤの街。と五賢人はアナ姫に言う。
ここで双眼鏡を覗くアナ姫の目がレンズに大きく映るのは明らかに小ネタだろう。
■「ミイヤの街」を探索するゲイナーたち。
すでにこのとき、裂け目の中央にうずくまるブリュンヒルデの姿が見える。
■ゲイナー「は?…カラス? フクロウ?」
サラ「な〜にこれ、このあたり暖かいのよね」
ゲイン「谷底まで氷っているようだが…向こう側の谷と繋がっている?
そんなばかな…ことはないか…」
サラ「『エクソダス』してヤーパンに着いたら、ここをモデルにしたミイヤの街を作るわ」
ゲイン「…と、夢見る少女は言ってるが、少年はどうなんだ?」
ゲイナー「建設する土地の許可、ロンドン・イマからもらえますか?」
ゲイン「ふん、さすがに少年は現実的なんだな」
■ガチコのオーバーマンの腕が反応する。と、土地全体が振動する。
■セント・レーガンのゴレームが現れ、岩の上に立つ。
ゲイン「アスハムか! こんなところまで! アスハム! ここはどういう場所か、考えてみるんだ!」
アスハム「何か言っているようだが…ゲイン、今日こそ貴様を捕らえる!」
ゲイナー「どうしたんだ? 体をさらけ出して、いつもと違うぞ」
ゲイン「何あわくってんだ、奴は」
アスハム「エ、『エクソダス』などはなあ! 絶対にさせられないのである!」
■アスハムの回想。
アスハム「このシベリアで、正規部隊と合流しろだと!? 私はまだ使命を完了していない!」
ザッキ「ですがそれ、ロンドン・イマからの正式のものです」
アスハム「報告が効きすぎた…『エクソダス』よりも、キッズムントを締め上げるのを優先するとはな…」
ザッキ「ですから、言い付けた我々にやらせて、アスハム大尉のわがままも許すと」
アスハム「シベリアなど、どうでもいい。ロンドンのセント・レーガンが動くまでは、自由にさせてもらう!」
ザッキ「面白い人だが、ちとこだわりすぎだな」
あくまでゲインを捕らえることに執着するアスハム。
■ゴレームが攻撃してくる。
ザッキもゴレームで出ている。
岩の重さで地面にはまった足を抜くキングゲイナーの仕草がコミカル。
■ゲイナー「サラさん、大丈夫ですか! サラ!」
サラ「え?」
ゲイン「貴様は俺の心配はしてくれない少年なんだな!」
ゲイナー「世界一タフな方の心配を、僕みたいなのがしたら失礼じゃないですか」
■アスハムとザッキは仲違いをしている。
アスハム「貴様は! なんで無闇に攻撃をするか!」
ザッキ「あいつらはいずれやっかいな敵になります」
アスハム「貴様は私を上官と認めているんだから、命令にそむくな! 生きたまま捕らえるんだよ!」
■ゲイン「ゲイナーはオトリになって、あいつをここからおびき出せ」
ゲイナー「やですよ、オトリなら、あんたでしょ。向こうはあんたを生け捕りにしたいんでしょ。あんたなら、少しくらいムチャしたって殺されませんよ。サラ!」
サラばかり気にかけるゲイナー。
ゲイン「この薄情者が」
■巨石を投げようとするザッキ。それを止めようとするアスハム。
ゲインはザッキのゴレームの持つ巨石と、足場の岩を砲撃。
■ベローのパンサーはザッキのゴレームに向けて何かを投げる。
ゴレームがそれを撃つと破裂し、ザッキのゴレームは強制的に振動させられて
動きが封じられる。
ザッキ「なんだ? 電磁爆破繩(?)か? 大尉ーっ!」
ベロー「ママドゥ先生開発のダブルB(?)、効くのか?」
ガウリ「ベローの奴、開発中のスリーBを使ったのか?」
ゲイナー「ベロー、何を使ったんだ?」
■アスハムのゴレームがオーバースキルでザッキ機の振動を止める。
アスハム「ヤーパンの連中め、オーバースキル封じの兵器を開発したのか」
アスハム「ゲイン! 貴様、ヤーパンどもに何を教えた! 
無駄なことをくり返さずに、いいかげんに私に従えええっ!」
■そのとき、再び振動。ブリュンヒルデが目を覚ます。
ゲイン「あの声、まさか」
ゲイナー「オーバーマンには見えません!」
アスハム「あれは…まさか!」
アイキャッチ
■胸部を大きく開き、咆哮をあげるブリュンヒルデ
ゲイナー「怪物か恐竜にしか見えないものだ。み、みんなは見てるんですか!?」
ゲイン「見ている、見ているが…これがミイヤの街だということなら、あれは奴かもしれない…」
ガチコのオーバーマンの腕が反応している。
■ガウリ「ベロー、さっき使った手投げ弾のスペアはもうないのか?」
ベロー「あれは試作品だって、数、ないっすよ」
ガウリ「威張って言うことか」
■アスハム「こんな遺跡を根城にする者に、私の邪魔などはさせんぞ!」
ゲイン「そいつに手を出すな! アスハム!」
■向かってくるアスハムのゴレームに、ブリュンヒルデは岩を動かして投げつける。
岩をぶつけられるゴレームの中割り動画のないような動きがブレンパワード風。
ゲイナー「どうなってるんです、あれ」
ゲイン「ブリュンヒルデのオーバースキルだ。奴は重力を操る」
ゲイナー「重力って…でも、石をあんな風に…まさかあれって、伝説のオーバーマンなんですか?」
■ゲイナー「あれが伝説の彷徨えるオーバーマンなら、
こんな石の街を作るなんて変じゃないですか?」
ゲイン「遺跡の中央の谷に潜んでいたんだ。そう考えるしかないだろ。
ミイヤのブリュンヒルデは、こういうこともやるようになったんだ」
ゲイナー「ミイヤ? ブリュンヒルデ?」
ゲイン「アスハムめ、ミイヤが最初に『エクソダス』をしたときのオーバーマンを相手にして」
ゲイナー「そんな、それって何時の話なんです? 昔のものなのに、誰が乗ってるんです?」
ゲイン「いいか、ゲイナー、お前はアスハムたちを押さえるんだ!」
ゲイナー「えっ?」
ゲイン「俺はあのブリュンヒルデをいただく」
■ガウリ「使えるってわかったんだ、俺にもオーバースキル封じの手投げ弾をよこせ!」
こだわるガウリ隊長。
■まわりの岩を吹き飛ばしながらブリュンヒルデが飛ぶ。
飛ばされた岩にアスハムとザッキのゴレームは翻弄される。
ブリュンヒルデは雪割り草のお花畑の方に向かっている。
それに気づいたサラはブリュンヒルデのあとを追う。
■お花畑を真ん中に対峙するブリュンヒルデとサラ。
ブリュンヒルデはサラを誘うかのようにコックピットを開き、
サラの方に手を差し出す。コックピットには誰も乗っていない。
サラ、手の上に乗る。ブリュンヒルデはサラを引き寄せる。
ゲイン「サラ! そいつから離れろ!」
ブリュンヒルデは岩を飛ばしてゲインを攻撃する。
■ガウリ「手投げ弾よこせ!」
ベロー「サラがあいつに乗っちまった」
ガウリ「ゲイナーのやつも苦戦してるんだぞ」
あんたまだこだわってんのか。
■サラはブリュンヒルデのコックピットに入り、ゲインへの攻撃をやめさせようとする。
サラ「私の言うことを聞けますね? あなたはいい子なんだから、サラ・コダマの言うことを…」
ブリュンヒルデの攻撃は止まない。
サラ「あたしがいっしょにいてあげるんだから、言うこと聞きなさい!
ポカスカやるのがオーバーマンじゃないでしょ! あなた!」
■岩を次々粉砕していくゲインのガチコ。しかし、巨大な岩が迫る。
しかしそれを、アスハムのゴレームが割る。
ゲイン「アスハム…き、貴様そこまで…」
アスハム「言ったろう! 貴様は私の手で生け捕りにして、カリンのもとに連れ帰ると!
ブリュンヒルデの方に向き直り)そのオーバーマン、ゲインは私の獲物だ! 邪魔はさせんぞ!」
ブリュンヒルデ、アスハムに向けて頭を降ろす。
アスハム「観念してくれたか。その性能、我が方には極めて興味があるものだ。
取り扱いは粗雑にしないから、我が方に投降しろ!」
ブリュンヒルデの力か、岩の表面やブリュンヒルデの頭の上に?マークに似たものが現れる。
■五賢人はそれをアーリーミイヤの紋章だと言う。
ブリュンヒルデの胸部が開き、そこに黒い球が現れてまわりのものを吸い込んでいく。
キングゲイナー、ゴレームも引き寄せられていく。
■ゴレームの手裏剣リングも吸い込まれてしまう。あれはディスクハープンと言うらしい。
■ゲイナー「なんなんです? あれ」
ゲイン「何でも吸い込んでしまうブラックホールみたいなものだ」
ゲイナー「馬鹿言って、ブラックホールがあったら、地球そのものがなくなっちゃう。
そんなようなものなどは、フォトンマット最大出力ーっ!」
■しかし、フォトンマットリングはあっさり吸い込まれてしまう。
アスハムはゴレームが吸い込まれる前にサラのいるブリュンヒルデのコックピットにとりつく。
ゲイン「アスハム、サラのところに入ったのか」
ゲイナー「え? サラがあの中にいるんですか? あの、のようなものの下に。
ええい、しまった、妙なものに引っぱられる!」
■ゲイン「ブリュンヒルデぇえええっ!」
ガチコのオーバーマンの手がブリュンヒルデの「ブラックホールのようなもの」に触れると、
それは収まっていく。
ゲイン「そうだ、ブリュンヒルデ。この腕はお前の腕だ」
ゲイナー「ガチコの左腕が、あのオーバーマンの?」
ブリュンヒルデのコックピットのアスハムとサラ。
アスハム「ゲインめ…あのシルエットエンジンは…」
サラ「臭い手袋!」
アスハム「か、噛みつき娘が!」
■ゲイン「考えようによっては、お前の腕を届けに来たのだ。
礼を言われても襲われるいわれはないと思うがな、ブリュンヒルデ